「メダカとこいのぼり」 木村研
池の中から、メダカのきょうだいが、きもちよさそうに泳いでいるこいのぼりを見上げて、
「わあー。大きいなあー」
「ぼくたちも大きくなって、早く空を泳ぎたいね」
と、いいました。
すると、こいのぼりは。
「メダカは、メダカ。空なんか泳げるもんか」
と笑って、お腹いっぱい風をすいこみました。
お腹が、どんどん大きくなって、糸が、プツンと切れました。
こいのぼりは、真っ逆さまに、池に飛び込んできました。
メダカのきょうだいは、びっくり。
「たべられちゃう」
と、大あわてでにげてしまいました。
しばらくして、メダカのきょうだいが戻ってくると、こいのぼりは、池の底で眠っていました。
「なあんだ。泳げないのか」
メダカのきょうだいは、がっかり。
どこかに泳いでいってしまいました。