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「衣食住」に突然の改革が始まる

 2月から小さな生活改革が同時進行でいくつも起きている。皮切りは数年ぶりと言える規模での大掃除に始まった。これは、よんどころない理由に依るもので、1月のある日、集合ポストの自分の部屋番号のところに例のマーキングがされていることを見つけた。数字とアルファベットの羅列ってやつである。自分は若いときに妹と二人暮らしの際にもこれを書かれて、当時勤務していた会社のボスに「なんか表札に変な数字の羅列が落書きされてて~」と軽く話したら、後日ボスから「ワイドショーでやってたけど、それ窃盗団のマーキングらしいからすぐ消しな!」と言われたことがあった。

 厳密に言うと窃盗だけでなく、訪問販売とかいろんな用途で「一人暮らし・女性」とか、そういう合図を書かれるらしく、実際に私が留守のときにとても気の弱く、少々社会的に未熟なところのあった妹が高額な布団セールスの契約をしていたことがわかった。後日発覚しクーリングオフしたことは言うまでもない。さらに後日、妹が長期留守している間に家に人が入った形跡もあった。。。ま、そういうわけで今回マーキングを発見したときに現実逃避癖の強い私も時節柄少々慌てたのであった。

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 早速セキュリティに加入しようと調べると某社のミニマムプランでちょうどよさそう、とわかった。連絡して打ち合わせると、2回のお宅訪問があるという。一度目は設置場所や諸々の確認のためで、なんと家じゅう見るらしく。。これは大変なことになったぞ。とにわかに青ざめる私。そして年末の大掃除でもそうなのだが、中途半端ができない性質みたいで、適当にして「もう、こんなにみっともない人間なんです」と、掃除できない自分として開き直ることができない。やりだすと徹底してしまう。そんなわけで今回、1週間ほどかけて数年手つかずだったところも含めて大規模清掃を行ったのだった。けがの功名で、今とても快適な我が家である。

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 次に、夕飯を毎晩大量のだし汁を使って…もっと端的に言えば、お蕎麦かおうどんを食べている。そしてその出汁を飲み干している。本当はおうどんのおつゆとか、塩分が高いから全飲みしてはいけないらしいのだが、あまりに出汁の旨味が驚くばかりでやめられない。そして、その出汁を全飲みすると身体中が不思議な満足に満たされることに気がついた。

これです。「フルール・ド・リス」の紋章の形をした紫陽花の若芽

 満足度は長く続き、不思議と食欲が落ち着いた。本来であれば「おさまった」と書くべきところだが、ここ数年間、ストレスでつい暴食してしまうことが多く、独り身故に不摂生に歯止めがかからないままでいた。ちなみに、暴食すると数日ほとんど食べないなどを繰り返して調整していて、これこそいい年して健康によくないことこのうえない。

 それが、出汁の旨味をすすると食欲だけでなく、なんと味覚が鋭敏になったのだ。それまで常食できていた食べ物の味付けの濃さが気になるようになった。それで塩分をぐっと減らしたり、自炊の方が味付けを調節できるので、外食頻度が格段に減った(朝は食べないので昼を外食パターンだった)。

 気になって調べてみると、出汁のパワーはなんと常識のようだった。いわゆる旨味成分が味覚のリセットをするそうで、私に起きたことはごく当たり前の話のよう。さらに、出汁による高い満足度による食欲を抑える効果なども「出汁ダイエット」として一部で定着しているらしく…。やはり体験したことこそ真実味が増すものだな。今ではすっかり味覚が戻り、出汁汁もほとんど味をつけない状態でおうどんにしても充分おいしくいただけるほどになった。ひとたび口をつけると、出汁の豊かな滋味が素晴らしく、つい最後まで飲み干してしまう。

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 さらにさらに、「大清掃」と「味覚リセット」が相まって来た頃、唐突に室内でネット動画を見ながらピラティスとヨガをやろう、と思い立った。運動習慣で言うと、私はウォーキングだけは結構頑張ってきていて、習慣化して長い。けれど、体がその運動量に慣れてしまっていて、さらなる負荷を欲していることを理解しつつも、運動嫌い(バスケ歴10年)でやる気が起きないでいた。むかーし、ピラティスに通っていたこともあったが、今はもう、どこかに通って運動をする行為が遠い世界での話に思える…。

ミモザは樹木状態で咲くと黄色いシャワーのようで圧巻

 まず寝る前に15分ほど試したところ、身体が気持ち良いと言っているのがわかるほどであったので、探してさらにあれもこれもとやっていたら50分やっていた。終わるととにかく身体が心地よく夢見心地になり、ハマった。
 最近では朝もやっている始末。

 「衣食住」と言うが、いきなりここにメスが入った感じの日々である。契機は「窃盗団(仮)のマーキング」であったかもしれないが、実は他の理由もちゃんとあるのを知っている。そう、物事って唯一の影響なんてありえないのだ。大抵は複合的に無意識領域の影響などもはりめぐらされて事象化していく。

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 思い当たるのは2つ、まず簡単な一つ目は「今の生活をなんとかしたい」という無意識レベルの訴えが自己にあったと思える。これは、無意識と言うほどに自覚していなかったのだが、おそらくこの10年ほどの仕事を含む生活習慣に対して自分のジャッジでは「否」となっていた。これをなんとかしたいがどうしていいかわからない、というものが悶々と内に巣くっていたと今振り返って思える。まずはこの、無自覚領域での願望があったこと。

 もうひとつの理由がケリー・マクゴニガル氏だ。彼女は健康心理学者で、それこそ10年近く以前に仕事で必要があり取り寄せた彼女の書籍、「スタンフォードの自分を変える教室」が中途半端に読み進めたまま放置していたものが大掃除で見つかった。後年、この「スタンフォードの~~」系の書籍は自分の好みに合っていることがわかったので、今回なんの気なしに開いてみた。ちなみに「スタンフォードの~~」系列の良さは、科学的なエビデンスが豊富で非常に論理的裏付けを重視して論が進むので、自分の好みなのだ。

今回文章量が多くなってしまったので目の休ませ処に画像多用中

 とにかく、「入浴中の10分だけ読む」お風呂読書にそれを持ちこんだ。以前読んだときはまったくピンとこなくて、それでも仕事だからとがんばって読んだ気がするが、今回まったく違う衝撃となった。ことコンテンツに対してはなんでも当てはまるけれど、自分の体験の量と質がある程度に達していないと理解できない、ということは往々にしてある。おそらく過去に読んだとき、自分はまだその域になかったのだと思う。今回、氏の言っていることがよく理解できてすぐに実践するようになったことがある。

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 それは「やる力」と「やらない力」と「望む力」の3つの駆使である。このことの詳細はそれこそ気になった方は氏の書籍を訪ねていただく方がいいのだが、要するに意志力を働かせるときには細分化するとこの3つの力のバランスと、いつどれを発揮するかの調整をできるようになること、いわばそのテクニックを身に着けることが意志力を鍛え目標の完遂になる、というメソッドだ。これ、テキストで書いてうわっつらを理解した気になっていたのが10年前、今回、この3つの力の使いどころがものすごく理解できた。

 それで、日常に応用し始めたんですよね。それだけの話。ただ、それだけの話で「衣食住」、生活大改革が起きているという事実。毎年3月って、自分には結構ハードなことが起きるシーズンなのだけど(そういや10年前の今ごろだった、がんが発覚したのは!)、今季はとってもヘルシーに過ごすことができている。人生って面白いですね。

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