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新規事業日記:7月19日

新規事業の件、備忘録がわりに置いておこうと思う。

コロナ自粛期間に着想したアイデアを、「この分野はこの方と組みたい」という思いのままに、まだまだメモ書き程度のドキュメントと共に話を始めていたら、勝手に動き出していくので少しだけおののいている。

実は10年以上前に、3年越しで口説かれた末に人に出資をうけて会社をつくったことがある。会社をつくったというより、事業を立ち上げた方が主旨か。管理職経験すらおぼつかない身の上で、着想やアイデアと行動力だけの兵隊がうまく転がせる才覚もなかったので、惨憺たる結末が残り、心に長く遺る傷を負った。が、2020年現在、当時の着想は世界的なスタンダードを獲得しており、やっぱり世の中にとって必要なことは、誰か才能のある人によって必ず世に出るもんなんだなと実感している。このとき、何で会社をやろうか新規事業の芽を模索していたとき、雷に打たれるようにその事業に思い至った。このときほど、迷いなく「やるべきだ」と確信したことはなかったと思う。

そのあとは、会社代表を退任し、一介のフリーランスになったり時々会社勤めなどしてきたが、無理やり意地になって「こんな事業は面白いんじゃないか?」と模索していたこともあったのだが、大抵は理論ファーストで自分が重たい腰をあげる気力はわくことはなかった。そんなこんなでそれからは「自分にとっては得意なことで、労なく簡単にできることだが需要がある仕事」にシフトして、この5年ほどはそのスタイルで大きな刺激こそないが安定してキャリアをつくってきたと思う。それがコロナですよ。下手に時間ができて、今後の来し方を考えざるを得ない状況設定があったことで、冒険をしようなんて欲求が生まれてしまった。

先だっても、某編集長に関与してほしくメモ書き程度のドキュメント携えて、「こんな感じなんだけど関わってほしい」と話したところ、興味を持っていただけて即答だったのだが、驚くことにさっそく社内展開してくださって、セクションの営業担当者から打ち合わせを打診されてしまい、当たり前なのだが「人に話すともう現実になってしまうのね…」と、今更ながら戦々恐々とした。けどよく言いますよね。夢をかなえるには、

「思う」「話す」「行動する」の3セットが必要、と。いつまでも自分だけの頭と心に留めている間は現実は微動だにしないけれど、人に話すとそれが現実のものになるので転がり始める。

あと、わたしが昔から重要視しているのが、「適切な場所で適切な人間が適切なタイミングで」行うことが成功の条件であること。思えば10年以上前の例の事業は、適切なタイミングでなかったことが非常に大きかった。今回、労なく主要な関係者を社外でどんどん組み込めているのは、適切なタイミングと適切な人間という点がフィットしたはずである。さすがに現在の自分について、下手に自虐することなく正当に評価することができる。

そんで言ってみれば、こういう体験が2回目なので走り始めると少し予想がたってくる、ということを実感できていて面白い。たとえば、一番最初に着想した収益モデルなどは非常にシンプルであったのに、関係者を増やすほどに欲が出てきてついビジネスモデル自体が壮大になりがちで、マネタイズ方法も散漫になっていく。これは、他者のスケールに依存しようという怠惰がなせる業であり、すったもんだ、試行錯誤、あれよこれよと動いているうちに「いや、結局最初に考えた案が無敵」にたどり着くことがわかっている。

けれど今はまだそこに力技でまとめることはしない。ぐちゃぐちゃしてていい。自然回帰するまでアイデアを泳がせようと思う。たぶん、泳いだ幅はビジネスの成長の幅になるはずなので、スタート時は小さく始まっても中長期的視野でその辺までは余裕で手が届くことになるだろう。

それにしても、ひっそりと目立たず、裏で物事の決定を握るフィクサー的な立場があっているし大好きなのに、なんでここにきてこんなことやりたくなってるんだろうな、と思わなくもない。でもそれが人生。面白いポイントなんだと思う。

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