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ミントとレモンの夏休み

 ミントとレモンのブレンドオイルにこの時期は救われている。ハッカと異なりミントにはわずかながらの独特の甘さが感じられるのだが、持ち味の清涼感にレモンが加わると、爽やかさの弾丸のようになるかと思いきやそうはならない。逆にミントのエッジをやわらかに丸くしてくれるのだ。

 毎夏、なんだかんだとこのブレンドオイルを買い求めており、いつもより半分ほどの量に貯めた浴槽の中に重曹とクエン酸を混ぜた粉にブレンドしたオイルを数適垂らして溶かす。とげとげしくない清涼感は、ぬぐい切れない疲労を癒す香りとして真夏にこそふさわしいエッセンシャルオイルだ。

 自分は寝るときにはもっと思い切った使い方をする。正式な芳香浴方法としてはあまり万人には薦められないのだろうが、内心ではみんなに薦めたい方法。それは、枕元やシーツの好きな場所にそのままオイルを振りかけるという荒くれ者のアプローチ。部屋全体に香りが行きわたる上、睡眠をいざなうに足る充分な香りを堪能することができる。
 かつてはちゃんとそれこそ教本に則り蒸気で拡散させるなどしていたが、物足りなさがあった。ある美容ライターの方がオイルをそのまま寝具に振りかけると聞いたときなどは、「乱暴すぎないか?」とのけぞったものだが、実際に試してみるとこちらの方がよく香るし、つぎ足しが要らないことがわかった。以来、大抵はこの方式を採用している。

 「生活の木」で毎年発売される“ミントとレモンのフレグランスシート”も、なんだかんだ毎年購入している。他のメーカーのものだと肌の弱い自分には強すぎてかぶれてしまうのだが、ここのは肌にやさしいうえになんといっても香りがよい。男女問わず使用できるので、よく名刺代わりの贈り物にも使っている。お手拭きにしてもいいしね。

 一年中、ゼラニウムとサイプレスは定番で買い求めるのだが、盛夏になるとこのミントとレモンが欠かせなくなる。熱帯夜などは体感温度だけでなく、この香が鼻先をかすめるだけでもかなり清涼化して体温が下がる心持ちすらするほどだ。
 ちなみにかつて抗がん剤治療中にも「芳香療法は効果があるはず」として、四六時中の吐き気を抑えるためにも調べて精油を取り寄せて枕元にまいていた。芳香療法の脳への伝達、そこから心身に及ぶ作用などは興味のある人は調べると納得されると思う。自分はもうだいぶ長いこと、体調の変化に合わせて精油を用いてきた。合っていると思う。とても余談だけれど、「アロマ」とは「芳香」の意味なので、CMなどで「アロマの香り」とか聞くとモヤモヤする…(※あまりに誤用された結果、日本では香りのあるオイルの総称という意味も追加された模様)

 わずかな貴重な夏休み最終日、bunkamuraでロミー・シュナイダー祭りなので「サンスーシの女」でも観に行きたかったのだが、結局夕刻までだらだらと過ごしてしまった。無念。
https://youtu.be/97qCDPS0Lys


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