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脳のごちそうになる体験を

 昨日の日経に、「流動性知能と結晶性知能」について出ていて、初めて知ったのでなかなか興味深かった。

流動性知能と結晶性知能の違い

人間の知能は、流動性知能と結晶性知能の2つに大きく分けられます。
流動性知能と結晶性知能は、知能の異なる側面を表します。
流動性知能が新しい問題解決や情報処理に関連する一方、結晶性知能は過去の学習や経験を基にした知識の蓄積を指します。
結晶性知能は、言語能力や事実知識、社会的スキルなど、教育や経験を通じて得られる知識であり、年齢とともに増加します。
つまり、流動性知能が状況適応能力を示すのに対し、結晶性知能は学習や経験に基づく知識の活用能力を示しています。

出典:「健達ネット」https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/24651

 脳ってどんどん老化退化していく一方なんだろうな、と漠然とした不安(芥川w)を抱えていたのだけど、情報処理スピードなどが該当する「流動性知能」は50代中ごろまで維持されているんだそうで、70代に入ると急激に低下する。一方の「結晶性知能」と呼ばれる、主に経験や学習で獲得する知識などの知能は、なんと70歳ころまで伸び続けることがわかったそうだ。低下も流動性知能と違い、ゆるやかに低下していくそうだ。 
 ということは、脳は何歳になっても変化することができるというのだ。
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 もちろんそれにはトレーニングが必要とのことで、好奇心をもって新しいことにチャレンジする、社交をきちんと持つ、運動や音楽は良い影響があり、さらに旅行などの趣味を持つことなどが推奨されていた。反対に社交がなくなるのは要注意だそうで、認知症の由来ともなる。

 これ、少し想像ができたのが、たとえば新聞なんか読んでいても、難しい言葉や読むのが苦痛なくらい理解不能な領域ってある。でもこれを、理解はできなくてまったく問題ないから、とにかく読み下すことが大事だと聞いた。その、理解できないけど読むのを繰り返す行為でいつかふと、理解できるようになっているのだとか。要は脳には可塑性があり、学習によって変化できることを裏付けている。なもんで、苦手だったり興味がないけれど結構がんばって新聞は全部読むようにはしている。

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 お年寄りが昔のことをよく覚えているのって、好奇心をもって臨んでいた脳も心もフレッシュだったときの記憶だから海馬によく刻まれているんじゃないか。年をとって全く初めての経験というのは絶対数が減っていくし、慣れ親しんだものから手離れすることを嫌う。そうすると新しい世界の扉が開かないのでやっぱり記憶力も落ちていくのかもしれない。

 年末年始に「魂に秩序を」という本を読んだ。 きっかけは、年末の日経新聞の書評欄で今年のオススメ本を識者が振り返る、みたいな特集があって、そこで2人の人がこの本を薦めていたから。ほとんどの人がそれぞれの本を薦めているなか、複数人が薦めるならばこれは面白いに違いないと思ったことと、なんとこの本は、新潮文庫でもっとも厚い文庫だというではないか。そりゃー読んでみるっきゃないというわけだ。

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 これは多重人格モノなんだけどものすごく面白く、なにより脳の世界の話。筆者はよくこんな世界を描けたものだと舌を巻く。でもって、多重人格者の脳世界の話が、もう新しすぎて経験則で理解できないので読みながら随分と脳みそを駆使したのだ。疲労しても不思議ではないその読書体験が、私にとっては脳の神経細胞がきらっきらに輝いていくような刺激を体感でき、ものすごく頭がクリアになったのが実に不思議な体験だった。

 そんで今回の、脳にとってはどれほど「新しい体験」が刺激的なごちそうなのかを知って理解した。まさにこういうことだったのだ、と。

 今年はもっともっと、知的な刺激体験を増やしていこうと決意した。


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