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金魚サロン

火曜日。14時の予約で訪れた秋刀魚から「いい感じの出目金にしてください」と、背鰭の形に切り抜いた赤セロファン紙を渡される。

オーガンジーやチュールなど、透け感のある薄い生地を使うのが相場だと伝えたけれど首を振るので「かしこまりました」と微笑んで秋刀魚を掴み、ミシンの上に横たえた。

なめらかに光る背にフィルムを重ね、「ヒレをお持ち込みされた上に布じゃないので、オプション料金たくさんいただきますね」と説明義務をきちんと果たし、肉厚な身に針を降らせて一息に縫い付ける。

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