同世代
火曜日。取引先の女から「月初に二百枚作ってもらったのに、もう切らしてしまって」と名刺の無いことを自慢されたので、すごいですねえと誠心誠意ぎょうてんしたのち、自分だけ名刺を差し渡す。
しめやかに受け取った女が「代わりと言っては何ですが」小脇に抱えた箱からティッシュを引き抜き、ひらりと一枚寄越してきた。会釈しながら受け取って、半分の半分に丁寧に畳み、せっかくなので額にそっと押し当てる。
「ティッシュくらいがちょうどいいらしいですね」「いまは皮脂よりも乾燥で化粧崩れますからね」笑いながら女がもう一枚引き抜き、小鼻にそっと押し当てる。