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別れの和歌二首 日と月に気持ちを託して 

卒業、人事異動、引っ越し
春は別れの季節
日本人の感性や美意識が感じられる
別れの和歌を二首
ご紹介します

暮ればまづ
そなたをのぞみ
眺むべき
出でむ日ごとに
思ひおこせよ

太皇太后宮甲斐

さし昇る
朝日に君を
思ひいでむ
傾く月に
我を忘るな

藤原通俊

一首目は、六番目の勅撰集、詞華集に選ばれている

わたしは夕日が沈むとき
あなたを思い
あなたは
昇る朝に向かって
わたしを思い返してね
と詠う

二首目は、五番目の勅撰集、金葉集に選ばれている

わたしは昇る日に向かって
あなたを思い
あなたは沈む月に向かって
私を忘れないで
と詠う

日が昇り
日が沈み
月が昇り
月が沈む

その運行に気持ちを託し
別れた人を思い
別れた相手も
自分を思ってほしい
という感覚

いまでもそういう気持ち
日本人は持っているんじゃないかな

1000年前の感性が
その後の日本人の感性を
決定づけている
といっては大げさだけども
とても面白いと思います



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