小説と漫画の違い
前にも書いたような気がするけど、私はもともとウェブで小説を書いていた。
読者がちらほら付き、調子に乗って公募に出しまくってみたものの、一番良い結果で二次選考止まり。それでも「自分が読みたいから」という理由で書きまくり、製本にして、売れもしないのに文学フリマに出したりもした。(在庫が捌けるまで出てやるぞ)
小説は頭の中で映像化されて楽しいけど、次第に「もっと視覚的に形として見たい」という欲求が強まり、「自分の小説を漫画で読みたい」という思いに至った。そして、自ら小説をコミカライズするようになった。
ただ、漫画は小説とは違って、10倍時間がかかるし、絵が上手くないと説得力が出ない。例えば、小説なら「魔法で大爆発が起こった」と秒で書けるけど、これを漫画にすると丸1日かかる上に、画力不足で大爆発どころかしょぼい爆竹程度になってしまう。
それでも、漫画は視覚的(時にはダメージとして)に自分の欲求を満たしてくれる。
キャラクターは不細工すぎるし、街はヘンテコだし、萎えることだらけだけど、文字では足りない部分を補ってくれるのだ。
また、小説だと自分で「上手い」「下手」を感じにくい。
よっぽど日本語がおかしくないかぎり、読んでて脳内補完ができるけど、漫画は違う。絵が下手だと読む気が失せる。美男美女設定なのに、絵が下手だともうそれだけで笑えて物語に入っていけない。(私は)
周りの漫画仲間が上手すぎて、自己肯定感が下がることも多く、何度も漫画をやめて小説に戻ろうと思った。実際に戻ったこともある。でも結局、視覚から自分の物語を見たい、キャラクターを見たいという気持ちが抑えられなくなってまた漫画に戻る。
「自分の作品を及第点の漫画で読みたい!」それだけのために描き、アドバイスを求めて出張編集部にも何度も足を運んだ。
名刺をもらえるほどになれば、自分の漫画が認められた証だと思い、それを目標にした。
そしてその目標は叶った。
けれど、まだまだ脳内に広がる映像やキャラクターの解像度は50%にも満たない。
でも、満足したらそこで試合終了だし、届かないからこそ楽しいのかもしれない。最近そう思うようになった。
うまく描けなくて悔しいし、苦しいけど、楽しい。
小説は、行きたい場所にスッと行ける。
漫画は、行きたい場所になかなか辿り着けない。
でも、今はこの「辿り着けない状態(手に入れたい)」が楽しい。
Mなのかもしれないな……。