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えらいてんちょう著『しょぼい起業で生きていく』
起業のハードルを極限まで引き下げる一冊だった。ぎちぎちに切り詰めて起業することを志す若者にこそ読んでほしいと思った。
著者はサラリーマンになりたくなくて消極的に起業したという。私も「マジシャンの仕事が軌道に乗ってきたから」と周囲には吹聴しつつも、じつは誰かに指示される生活に限界を感じて独立を決意したタイプの消極的個人事業主である。境遇が似ていて受け入れやすかった。
著者は言う。
借金をして、大々的に事業を立ち上げ、その儲けで生きていこうとすると成功か失敗の二択になってしまう。しかし、たとえば店舗に住んでみるとか、通勤を輸送に変えてみるとか、自分の生活を労働で満たし、余った分を売って資本化するという発想で起業すれば、大儲けはしにくいものの大コケはしない。
自分のできることを積み重ねて、ストレスフリーに生きるには企業しかないのかもしれない。まるで処世術である。いやもう、サバイバルブック? 方法としては多少グレーな部分もあったが、それゆえにリアリティがあった。
ただ、個人でやると決めたからには避けられないのは人間関係だ。他人に愛され、他人に必要とされる力はサラリーマンより求められるだろう。誰とも関わらずに生きていくのはやっぱり厳しい。頼れないのは苦しい。最後にものをいうのは信用とハッタリだ。それはもう、私も独立してからめちゃめちゃ実感している。
同じく、サラリーマンに向かないと自己分析した〝えもてん氏〟が「しょぼい喫茶店」を出店するまでのストーリーも魅力的だった。生きていくのが辛い、居場所がない、そんな生きる力の弱い人々が、なんとなく集まれるしょぼい交流の場はもっとあっていいのではないだろうか。これからの時代、感情に素直なひとが大きなコミュニティを築き、大成していくのかもしれない。
SNSで有名になれ、暇な時ほど見栄を張れ、従業員は雇わないで協力者を募れ等々、具体的なアドバイスも満載だ。
とりあえず、YouTuberデビューしようかしらん。
https://www.amazon.co.jp/しょぼい起業で生きていく-えらいてんちょう/dp/4781617336