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会社経費でいい湯だな

「3人で、11万円っ!?」


先日、経営企画部の部長が驚きの声を上げました。



何でも、ある部署から高額の飲食費の領収書が、
経理部門に上げられてきたのだそう。



「どこの店行ったんだよ…」とボヤく部長に対し、
「さすがに、3人で11万はやりすぎですね」と副部長。



その場面を見て、思わずデジャヴを感じた私。






頭に浮かんだ景色は、1社目の経理オフィスでのこと。




「3人で、17万円っ!?」



ナヨナヨとしたおネェ系の課長が、甲高い声を上げました。





コーポレートカードの引落し請求書を処理していた所、
営業部長と営業課長、取引先の偉い人の3人で、
ギロッポンのイイお店に行かれた明細が突如出現(笑)。



店名をネットで調べると、表示されたムーディーな画面と共に、
たくさんのきれいなお姉さん達が次々に登場(笑)。



"良いご身分だな…"と苦笑いしていると、課長から、
「それ明細の画像、全部スキャンしてくれる?」との指示。



その後、その交際費の件が、課長から役員に報告されましたが、
特に何事も無く、会社側にスルーされたのを(笑)覚えています。







また、ある時は、毎週ペースで上がってくる、
総務課長の飲食費の領収書精算を目にしました。



メンバーは、管理部長と総務課長と、総務課員の誰か1名の3名。



毎回、1人5,000円以上の豪勢な飲食代を出してきて、
普通に、会議費ではなく「交際費」で、損金不算入です。




「何だこれ、ただの飲み会じゃん」と、ボソッと言った私に対し、
顔を真っ赤にして怒り出す、醜く肥え太った総務課長(笑)。



「お前、何だ飲み会って、真面目な話をしてる会なんだよ!!」



恥も外聞もなく逆ギレをし始める、呆れたオヤジです。



その後、参加した総務課員の一人に聞いた所、
その課長は、肉をバクバク食いながら、
半分以上、趣味の"釣り"の話をしていたのだそう(笑)。







まぁ、しかし、こんな話はまだ可愛いものです。



1社目で7年、経理を経験した私は、満を持して、
2社目の上場企業に転職し、経理部に配属されます。




色々あって、1年間の短い付き合いとなりましたが(笑)、
入社してしばらくは、小口現金の出納業務も任されました。



私が経理処理した、各部門の旅費交通費・経費伝票のチェックは、
30代後半の女性の先輩が担当していました。



非常に指摘が鋭く、言葉が強く、厳しい先輩。



私にはもちろん厳しかったですが、それ以上に、
ある人物に対しては、相当な厳しさを持つ先輩でした。






彼女を一段とピリピリさせるその人物は、
某有名大企業から天下りしてきた、営業部門の理事。



会社経費を好き放題使い倒す、自由奔放なおじいちゃん(笑)。



出張に行く度に、必ず温泉地で羽を伸ばし、
グリーン車に乗り、高いホテルに泊まり、まさに悠々自適。



その理事の旅費精算書が経理に届く度に、
書類に穴が開くほどの、入念な精査を求められました。



経由したルートの金額を、navitimeで全区間調べ、
おかしな遠回りをしていないかなどを、みっちり確認し、
不明点があれば、本人の席まで聞きに行きます。






ある時、出された精算書を手に、理事の席まで赴くと、
彼は熱心に、デスクのモニターで料理番組を見ていました(笑)。



「あの…、お忙しい所すみません、〇〇理事」



そう声をかけると、「あぁんっ!?」と面倒臭そうな返事(笑)。



ルートの金額など、気になる点をやんわり聞こうとするのですが、
「うるさいよ!正しい金額書いてるよ!」と、まるで聞く耳持たず。



すごすごと退却して、その旨を伝えた所で、
到底、納得などするはずもない女性の先輩。



理事と先輩との板挟みに遭い、えらい思いをしましたが、
彼の"温泉旅行精算書"は(笑)、コンスタントに私を苦しめました。







針のむしろのようだった、上場企業のオフィス。




会社の経費を我が物顔で使い倒す、腰掛け老人。


自分の処理ミスを経理のせいにしてくる、各部の管理職。


常にイライラ気味だった、性格のキツい社長秘書。


人のミスを指摘することに、命を懸けているような経理の先輩達。




日々、経理部と他部門を往復する階段を上り下りしながら、
「いつか、ゆっくり休める日は来るのかなぁ」など、
漠然と、心身の疲労の蓄積を感じ続けていました。




あれから、実に2度に渡る休職を経験した私。




平日の昼間に、自宅の浴槽にゆっくり浸かったこともあれば、
近所の温泉で、地域のオジサン達と露天風呂に入ったことも(笑)。



傲慢な連中だらけの、ストレスフルな上場企業のオフィスを忘れ、
湯に浸かりながら、露天風呂から眺めた平日昼間の青空は、
静かな風に、ゆっくりと我々の頭上を流れていきました。







経理部門で、毎日イライラしている皆さん。



月初の締め処理が一段落着いた辺りで、有休でも取って、
近場の温泉などで、のんびり浸かってみてはいかがでしょうか。






世の中、思った以上に下らない大人ばかりです(笑)。



隙を見て、そこそこ息抜きしながら、まったりしましょう。

その100円玉が、誰かの生きがいになります!