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タピ岡龍太郎

こんばんは、今日もお疲れ様でした。


さて今回は、昨日の記事でご紹介したサークル活動、
「ストレスジャンププール」、略して「#SJP」をお送りしたいと思います。




線路ではなく、"不思議なプール"に飛び込むと、
"最高の世界"に行くことが出来るという、このフォーマット(笑)。



こちらに準拠して、好き勝手な小説を書いていくという活動です。



今回は「記入例」として、私の方で一本小説を書きますので、
皆さんも是非、「#SJP」タグを付して頂いた上、
思いのままの世界を、ご自身の小説で表現頂ければ幸いです。






それでは、不思議なプールに飛び込んでみましょう。











~ストレスジャンププール(#SJP)~



22時過ぎの帰り道。



こんな時間になっても、人でごった返す駅のホームで、
疲れ果て、虚ろな顔でカバンを持つ男。







朝からいきなり、職場の皆が見ている前で上司から、
「お前はバカか!」とストレートな罵声を浴びせられた。



何をやっても怒鳴られ、やらなくても怒鳴られる。



周囲の人間は助けるでもなく、ただ憐みの目を向けてくる。






俺の人生は、何だったのだろう。



こんな時間になっても、人の数が減らない都心にも関わらず、
なぜか一向にホームドアが付く気配もないこちらの駅では、
人一人死のうが、その位の犠牲は誤差の範囲なのだろう。






結局、何にもできなかった。



完敗と言っても差し支えない、そんな人生だった。






気付けば、男は線路の一歩前まで静かに歩を進め、
暗闇からゆっくりと、到着する電車の灯りが近づいてくる。




さよなら人生、さよなら上司。




音もなく飛び込もうとした、その瞬間。






「こっちだよ」




突然、そこそこの力で手を引っ張られたかと思うと、
可愛らしい小柄な女性は、男の手を引いたまま走り出す。




「おぉぉっとっとっと」




死ぬつもりが、なぜか女性に引っ張られて走っている男。




人混みをかき分け、女性とともにホームの端まで走ると、
そこには不思議なプールが広がっていた。




「あなたが飛び込むのは、こっち」




女性は不思議な笑みを浮かべながら、男に言った。




いきなりの出来事に、自分は頭がおかしくなったのかと思った男だったが、
もう飛び込めればどこでも良いと思い、「分かりました」と言うと、
思いっきりジャンプして、そのプールへと飛び込んでいった。




着水した瞬間、何も見えなくなったかと思うと、急に明るくなる視界。








見渡すとそこは、女子高生が群れを成して歩く、あの通りだった。




「何だ、この街は!?」




急な出来事に驚いていると、男の目の前に、あの名司会者が現れた。




「こんばんは、"タピ岡ナイトスクープ"の時間がやって参りました!」


「あ、あなたはもしや、タピ岡 龍太郎さんでは!?」




男の目の前には、名司会者・"タピ岡 龍太郎"の姿が。




男「以前、心霊現象の回で激怒して帰った放送、私も観てました!」


タピ岡「いつの話をしとんねん」



つい興奮して、思い出話をしてしまう男。



タピ岡「今日はですね、この通りで冴えないオッサンが、

   タピオカミルクティーを飲んでいたら、何人の女子高生が集まるか。

   その検証をさせてもらいますわ」

男「わ、私がタピオカミルクティーを飲むんですか!?」




驚きつつも後ろを見ると、レポーターの某モノマネ芸人が、



「"たけしの通り"じゃねぇよ、バカ野郎!! ダンカン、この野郎!!」と、


首をカクカク動かしながら、十八番のネタを披露していた。









10分後。



男の周りには、ざっと見て100人近い"JK"が集まってきた。




「オッサン、何"タピッてる"の~!?」


「こんな疲れた顔してタピる人、初めて見た~」


「マジウケる~!!」


「タピオカ、美味しい~?」




人生で一度として会話したことがない人種に揉みくちゃにされ、
もはや、タピオカの味も何も分からないような状態の男。




「あ、あの、初めて飲んだんですが、なかなか…美味しいです」




とりあえず真面目に答える男を、スマホでパシャパシャと撮る彼女達。




「オッサン、マジウケる~!!」


「可愛いぃ~」


「良かったねぇ~、オッサン」




何だかバカにされている感が半端では無かったが、
会社で上司に怒鳴られて、吊し上げにされるのと比べたら、
こんなものは可愛いものだと、むしろ心地良さすら感じていた男。




結構な量あったタピオカミルクティも、すっかり飲み干していた。




「あー、旨かった。ご馳走様でした」と言って席を立ち、
飲み終わった容器をゴミ箱に捨てると、
JKの中の一人が、立ち上がって駆け寄ってきた。




「ねぇ、オッサン」


「はい…?」




振り返ってみると、高校時代ですら目にしたことが無い位、
とてつもない美少女JKが、男を真っ直ぐ見て言った。






「サラリーマンって、結構大変そうだなーとか、


親なんか見てると思うけど…。


何か…、煮詰まっちゃった時とかはさ。






また、ウチらと一緒にタピろうよ」












翌朝。



ハッと目が覚めると、そこは自宅の寝室だった。




男「今のは…、全部、夢か…」




久々に、人生で良いことがあったように思った男は、
残念そうに肩を落としたが、ふと机の上を見ると、
そこには、1枚のメモ紙が置かれていた。




男「何だ、これ?」




紙を手に取ると、そこにはこう記されていた。







"駅のホームで、今夜もお待ちしています"






~ストレスジャンププール(#SJP) 終わり~

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yomogida4
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