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読書日記『マチネの終わりに』
どうしても読みたくて、留学先で買った日本語の本がある。それがまさに『マチネの終わりに』だ。
私自身もいつか海外で暮らし、働くんだろうなという思いと、昔地元のホールにクラシックギタリストがいらして、ピアノの先生と見に行ったなあと主人公のふたりについて思いを重ねながら読み進めていた。
この物語は、一度心に湧き出た欲望に従い、起こした小さな事件が、取り巻く人々の人生を揺り動かすスイッチになることを描いていると思う。
それが人として正しいかという正義論は置いておくとして、そのスイッチをきっかけに、関係性はうごめき、変容する。
こういった場面はおそらく私たちの人生においても起きているはずだ。当人たちが気づかずとも、あとあと考えてみると、何かの分岐点になっているのだろう。