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【映画レビュー】生涯のベスト『第三の男』

The Third Man/第三の男

もはや映画評など無意味な、不滅の金字塔です。

モノクロ映画の長所を存分に活かした光と影のコントラスト、息もつかせぬ緊張感あふれるストーリー展開、俳優たちのいぶし銀のような演技。全編に流れるアントン・カラスのツィターの響き。一枚の絵画のような美しいラストシーン。
かつて、故淀川長治氏がこの映画について「あまりに見事すぎて、惚れ込んだけれど嫌気がさす」と評していましたが、それほど素晴らしいです。

『第三の男』は、1949年のイギリス映画で、名匠キャロル・リードが監督を務めています。第二次世界大戦直後のウィーンが舞台ですが、当時戦勝国の米英仏ソがこの都市を4分割してそれぞれ統治しており、戦争の混乱と影を引きずった人々の様子がリアルに描かれています。

物語は、アメリカの売れない作家ホリー・マーチンスが親友のハリー・ライムからの誘いを受けてウィーンに向かうところから始まります。ホリーは意気揚々で到着しますが、到着早々ハリーが自動車事故で亡くなったことを知らされます。ホリーは、ハリーの葬儀に出席し、そこでイギリス軍のキャロウェイ少佐と出会います。少佐はハリーが悪質な密売人であり、その死が単なる事故ではない可能性があることを示唆します。ホリーは友情から、事件の真相を探る決意を固めます。

調査を進める中で、ホリーはハリーの恋人である女優アンナ・シュミットと出会い、二人は共に事件の目撃者に話を聞く中で、現場に不審な「第三の男」が存在していたことを突き止めるのですが‥‥

ハリー・ライムを演じたオーソン・ウェルズの重厚な存在感が素晴らしい!

永遠のフィルムノワール・クラシックです。

アントン・カラスとツィター。この音楽なくしては語れないほど重要な役割を担っています。

※stand.fmでも映画や音楽の話をしています。よかったら聴いてみてください。https://stand.fm/channels/6655ca62316143a771ce9aa6

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