キャスティングの話 ~中島たい子『かきあげ家族』
やすこさん、こんにちは。
『春に散る』の原作、横浜流星じゃなくて佐藤浩市の方が主役なの?なんか意外でした。その後、映画は観た?
好きな作品の映像化、私はちょっと警戒しがち。小説もだけど、漫画はビジュアルイメージが既にあるので特にいろいろ思いがち。
脚本も相当大事だけど、キャストはわかりやすい分、気になっちゃうよね。
『宇宙兄弟』映画化の時は「ムッタが小栗旬はかっこよすぎ!そこは大泉洋にしてよ〜」と思ったし、『海街ダイアリー』でも三姉妹のキャスティングにいまいち納得感がなくてもやもやした。
まあでも実際観てみたら、意外に違和感なかったの。役者さんてすごいね。
一方で、小説を読んでいて思わずキャスティングしたくなる時があります。
私の経験上、そういう小説はまあまあの確率でドラマ化されてるんだよね。
ドラマの配役が自分のイメージと近いとめちゃくちゃ嬉しいし、プロデューサーわかってるぅ!って思うから安心して観ようって思えるな。
この間久しぶりにキャスティングしたくなった本があって、それがこれ。
中島たい子さんの『かきあげ家族』
主人公の八郎(大スランプ中のコメディ映画監督)が家宝にしていた世界に一冊の脚本が、いつの間にかオークションサイトに出品されていて、状況から家族の誰かが犯人と疑わざるを得ない、ってあたりからお話が始まるんだけど、この家族がまあ、揃いも揃ってクセが強いんだ。
次男は20年近く引きこもりで、何をしているのかわからないし。
三男は結婚して娘もできたのに、「自分に嘘はつけない」と離婚して、女になって出戻ってくるし。
堅実に暮らしているはずだった長男も、急に会社を辞め、家族を置き去りにしたまま実家に戻ってきたと思えば、「俺は本当はあの有名監督の隠し子なんじゃないか?」と言い出し。
元女優の妻はこんな状況もどこ吹く風で、女優復帰に忙しく。
その上八郎の母(これも元女優)が、すごい秘密を暴露して…
八郎は状況に慌てふためきながら、なんとか脚本を取り戻そうと奮闘し、振り回され、ボヤキながら、これまで向き合ってこなかった家族一人ひとりに向き合っていくの。
テンポのいい掛け合い。次々と起こるトラブルと転がるような展開。ドタバタコメディでありながら、家族の秘密と、感動を少し。
これ、ドラマ化したら人気出ると思うんだよねー。どこかのプロデューサーに教えてあげたい。脚本はぜひ、漫画『義母と娘のブルース』を見事にドラマ化した森下佳子さんにお願いしたい。
ちなみに私が今まで見た小説の実写化で、最もキャスティングに感動したのはイギリスBBCの『シャーロックホームズの冒険』。次点で映画『ハリー・ポッターと賢者の石』です。ビジュアルイメージ完璧!
やすこさんはキャスティングしたくなった小説ってある?今度聞かせてね。
ではまた。
2023年9月29日
かおり
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