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もちもちプリンタニアを飼いたい話〜迷子『プリンタニア・ニッポン』
やすこさんへ
あけましておめでとう!お正月休みはゆっくりできた?
新年一発目の今日は、お屠蘇気分のゆるゆる脳でも無理なく楽しめる本、『プリンタニア・ニッポン』を紹介しようと思います。
お話の設定は遠い未来。そこでは生物を生成できる生体プリンターのシステムエラー?で、ペットの柴犬を作るはずだった佐藤のプリンターから、見たこともない不思議生物が爆誕!
『プリンタニア・ニッポン』として新種登録されたこの生き物、とにかくめちゃくちゃかわいいの!丸くてつるっとしたフォルムで、触り心地は柔らかいお餅みたいにもっちもち。
雪見だいふくを二つぎゅっとくっつけて、ちょんちょんと短い手足を付けた生物を想像してみて。そんな生き物、かわいすぎるでしょ⁈私も飼いたい!
基本人見知りで閉じた性格の佐藤だけど、自分のプリンタニアに「すあま」と名付け、手探りで飼育を始めるうちに、すあまを通じて獣医の遠野、同じ居住区に暮らす瀬田などと仲良くなって…と、基本的にはそんな話。穏やかな佐藤と賑やかな友人の塩野とのコンビや、すあまを取り巻く人達とのほのぼのした日常はどこか『動物のお医者さん』を彷彿させる。でも読んでいくうちに、ほのぼのだけでは終わらない、なんだか不穏な世界観が少しずつ顕わになってくるんだよね。
生体プリンターもそうだし、一人一人に「コンサル」と呼ばれる高機能AI秘書?がついて生活全般をサポートしてくれて、料理も完全自動調理器があってと、ユートピアみたいな未来世界だけど、一方で住人たちは監視猫や評議会と呼ばれる存在に管理されていて、健康状態から精神状態までチェックされたり、各人のレベルによって生活環境に差がつけられていたり、お互いを+−で評価し合うシステムになっていたりと監視社会のディストピア感がちらちら。この世界設定の謎はまだわからないことが多くて、そこもこの漫画の奥行きであり面白いところです。
まあでも、そんな不穏な影さえ吹っ飛んでしまうくらい、とにかくプリンタニアがかわいい!この漫画の最大の推しポイントはそこです。ぜひ読んでみてプリンタニアのかわいさに癒されてほしいわ。
さて、2023年に始めたこの往復書簡も2度の年越しを迎え、ありがたいことにフォローしてくださるかたも少しずつ増えてきました。嬉しいね。今年も面白かった本の話、本にまつわるお出かけなど、楽しんでまいりましょう。今年もよろしくお願いします。
2024年1月3日
かおりより