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神保町の古本屋ふたたびの話〜原田ひ香『古本食堂 新装開店』〜

かおりさんへ

こんにちは。
『団地のふたり』のドラマ、気になってたんだけど、見てないのよ。小林聡美さんとキョンキョンなんて、最強だよね。かおりさんにすすめてもらったので、ドラマも本も楽しんでみたいと思います!

さて、原田ひ香さんの『古本食堂』の続編が出たのよ。図書館の何人もの予約の順番を待って、ようやく手元に届いたので、今日は『古本食堂 新装開店』について書こうかなと思います。

前作で、ビジネスパートナーになった珊瑚さんと美希喜ちゃん。先代店主の滋郎さんのお店とも珊瑚さん一人のころのお店とも違う鷹島古書店を作っていくんだよね。

珊瑚さんが薦めてくれる本は前作に続いて絶妙なの。たとえば、松谷みよ子さんの『モモちゃんとあかねちゃん』。かおりさんは読んだことある?私は、子どものころに読んだんだけど、本当に問題作。死に神とか歩く木とか本当に怖かった記憶があって、これを薦めるんだ!と驚いた。相手に寄り添って、ぴったりの本を探してあげるところは才能だわって思う。

あとね、美希喜ちゃんの探偵っぷりもなかなか。少ないヒントから、昭和56年の『暮らしの手帳』を探し出すところはさすがだし。『暮しの手帖』は母がよく読んでいたから、ものすごく懐かしくなったわ。

そして、神保町の美味しいものも、天ぷらとかうなぎとかタイ料理とか相変わらず、健在。

ただ、一緒にやっていくうちに少しずつふたりの関係性や考え方がすれ違っていくんだよね…。珊瑚さんはずっと思い悩んでいることがあって、あるとき思いがはち切れそうになって、思い切った行動に出る。

それによって、美希喜ちゃんはとても忙しくなって、余裕もなくなってしまうの。でもね、一瞬立ち止まって、これからの自分のあり方について考えていくんだよ。その中の1節がとてもよかった。

「私は中華屋の炒めものでありたい」(中略)
「一見、地味で目立たず、誰もが普通に食べてしまうけど、本当は一つ一つに丁寧な仕事がしてある。誰かが手間や技術をかけた下処理の集合体で、プロの技なのに、でもひっそりとそこにある」「なるほど」「そういう人に私はなりたい」

地味なものって、軽視されがちだけど、地味に見えたとしても本物はちゃんと存在感があるというか、やっぱりすごいんだよね。それにきちんと気がついている美希喜ちゃんの今後が楽しみだなと思いました。

そして、ガイドを手に入れたのに、かおりさんとまだ神保町ふたたびをしていなかったわ!今度こそ、晴天の日に、神保町の古本と美味しいものを堪能しよう。そして、次は喫茶店にも寄りたいな。では、またね。

2024年10月4日
やすこより


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