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和菓子がものすごーく食べたくなる話〜坂木司『アンと幸福』〜

かおりさんへ

みくのしんさんが初めて読む『走れメロス』の話、私も読んでみたくなりました。花によると「オモコロチャンネル」っていう動画チャンネルで若者に人気があるんだってね。私は動画チャンネルはほとんど見ないけど、私の知らない文化がたくさんあるんだな〜とひとつ賢くなりました。

さて、知らない文化つながりで、今回は坂木司さんの『和菓子のアン』シリーズの第4弾『アンと幸福』について書こうと思います。和菓子ってさ、知らない文化のかたまりで奥深いなあと、このシリーズを読むとしみじみ思うんだよね〜。

第4弾のこの本も『和菓子のアン』のころから変わらず、ほっこりあたたかい、悪い人の出てこないお話。和菓子屋「みつ屋」には、今回もいろいろなお客さまがいらっしゃって、アンちゃんはお店のメンバーと一緒にちょっとした謎を解いていくの。

アンちゃんは誰に対しても「リスペクト」の心を忘れずに接するし、真摯に目の前にあることに向き合っていくから、しかるべくして謎が解けたり、問題が解決するんだよね。予定調和といえば予定調和なんだけど、読んでいて爽やかな気持ちになる理由なんだろうと思う。

今回のお話のなかでは、新店長がモチモチしたお菓子を勧めるアンちゃんを邪魔するのはなぜなのか?とか......お客さまがショーケースを見ながらつぶやいた「トーマス」が一体なんなのか?とか......俳句を始めたばかりの若い男子ふたりが、年配の俳句仲間を喜ばせるためにどんなお菓子を買ったらいいのか?とか......そんな謎に取り組んでいくんだよね。

和菓子にまつわる文化や歴史について、アンちゃんが謎を解き明かす形でわかりやすくナビゲートしてくれるので、読み進んでいくと和菓子がものすごーく食べたくなるの。そして、身近にある「美味しいもの」はただ「美味しい」だけでなく、それぞれに文化や歴史が背景にあることに思いいたる。

アンちゃんの物語を読んでいると「好きなもの」があることって強みなんだなあって思う。「好きなもの」のことならなんでも知りたくなるし、もっともっと知りたいって思うもんね。私もいくつになってもそんなエネルギーを持ち続けたいもんだわと思いました。

そうそう、今作でもアンちゃんのママの作るご飯は垂涎もの。夜に読んじゃダメな本だわあ。あとね、今回の表紙はみかんのフルーツ大福で、見ているだけで幸せになるの〜。どうしても和菓子が食べたくなって、もったいなくてなかなか食べられなかったいただきものの「虎屋」の羊羹を思わず開封しちゃったわ。

いやあ、今回も癒されました。次作も楽しみ。

2024年9月6日
やすこより


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