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【謝罪】サッカー日韓W杯で日本が負けた本当の理由

2002年に開催された男子サッカーの日韓ワールドカップにて、日本がトルコに敗れたのは私のせいです。



いえ、正確に言えば…あの頃中学生だった私たちのせいです。誠に申し訳ありませんでした。

すべてを白状させてください。




日本が負けた原因

2002年、男子サッカーのワールドカップが日韓合同で開催された時、私は横浜市に住む中学生でした。


初の自国開催、それも決勝戦が横浜で行われることもあって、横浜の行政官たちはW杯を盛り上げるべく

「市立中学校の生徒たちに、全出場国である32カ国の国旗に応援メッセージを書かせる」

という企画を実行しました。



こうゆうのです。

https://www.cyclesports.jp/news/race/118060/attachment/118075/



そして、私が通う中学校に割り当てられた国こそが…日本代表をベスト16で打ち負かしたトルコ共和国だったのです。



だからどうした?

とあなたは言うでしょう。

ただトルコの国旗に応援メッセージを書いただけでしょ?と。



しかし、違うのです。

あの日私たちが書いた応援メッセージは、トルコ国民の底力を引き出す、恐ろしい呪力を秘めていたのです。



青春の1ページ


2002年のある日、中学のサッカー部に所属していた私とその友人は、先生に職員室に呼び出され、

「みんなで手分けして、この国旗に応援メッセージをいっぱい書いてくれ!」

と頼まれました。

トルコ共和国




アイアイサー!お安い御用です。

私たちは各教室をめぐり、その場にいた全ての生徒たちに極太のマッキーを配って、前田大然選手よりも爆速でトルコへの応援メッセージを書きなぐりました。

正直に白状すれば、トルコのサッカーへの愛着なんて一切ありませんでした。おそらく誰一人として。



だって、無理もないでしょう?

自国である日本やスター選手ひしめくブラジルとかならまだしも、当時のトルコはあくまで中堅国でした。



そこらへんの中学生が憧れるようなスター選手は少なかった(しいて言えばイルハン?)ため、社交辞令的な応援メッセージになってしまうのは仕方ありません。

後にJリーグでもプレイしたイルハン・マンスズ。イケメン。




話を戻しましょう。

トルコへの「それっぽい応援メッセージ」をイナズマ純也並みのスピードで書き終えた私たちは、作品を職員室にいる先生へと提出しました。



「うん、いい感じだ!みんなありがとう!」

仕事を終えた私たちは、いつもの日常へと戻って行きました。

めでたし、めでたし。





…と誰もが思っていました。



思わぬクレーム


1週間ほど経った後、私たちはまた職員室へ呼び出されました。

なんじゃらほい?と思って話を聞きに行くと、先生が険しい顔でこう言います。 


「こないだ国旗への応援メッセージを書いてもらったろ?アレを作り直してくれ」




なんでやねん。

提出前に全体をチェックしたけど、カッコよく仕上がってたと思うけどなぁ。何がダメだったんでしょうか?




「……。」


先生の顔がさらに険しくなりました。

しばらくして観念した彼は、こう言いました。





「お前たちは『がんばれトルコ!』とか、『負けるなトルコ!』なんて応援メッセージを書いてくれたよな?もちろん、何の問題もないよ」


「ただし、トルコに限ってはそれが許されないんだ…」




は?



「お前たちは知らないだろうが『トルコ』という単語は、大人のお店を指す隠語でもあるんだよ」








「つまり『トルコ』という単語は行政 NG ワードだから、そのままでは使えない。トルコの部分を『サッカートルコ代表』に全て置き換えて、もう一度作ってくれ」






その時の先生の表情は、一生忘れられません。


中学生にトルコ風呂の歴史を説明せざるを得ない状況に追い込まれた、新卒1年目の教育者の顔です。




悔やむべきは、無垢なサッカー少年であった私にはトルコ風呂への知識がなかったために、その状況の滑稽さを理解できなかったことです。

「ソープランド」については中学生レベルの知識があったものの、それがかつてはトルコ風呂と呼ばれていただなんて…屈辱的な名称にブチギレたトルコ人留学生が、裁判で名前を変えさせていたなんて…

歴史を知らなかったのです。



なお、職員室へ呼び出された生徒3人のうち、学年有数のスケベと名を馳せていた1名だけは、トルコ風呂について既に知識があったようです。

まっさらな国旗を受け取って教室へと戻る途中、私は彼からトルコ風呂という言葉の歴史についてレクチャーを受けました。


私は全てを理解しました。




込められた莫大な呪力


確かに、トルコ風呂の知識がある状態で最初に書いた応援メッセージを見直すと、なんだかヒワイなものに見えました。



「がんばれトルコ!」

→ 摘発されたから?



「負けるなトルコ!」

→ 摘発に?それとも裁判に?



「トルコ最高!」

→ イヤらしい意味に聞こえてしまう。


「やっぱりトルコ最高!」

→ リピーターだね。



ついには、自分で書いたメッセージすらも、性的な意味合いに見えてきました。

 

「ゴールが見えたら、うてトルコ!」

漫画『キャプテン翼』より


→ 延長戦は追加料金だもんね。



ちなみに、最初に書いた応援メッセージは、女子を含む50人ほどの協力を受けて作られたものです。

つまり、同じものをまた作り直そうとすれば、多感な50人の中学生たちにトルコ風呂の歴史を伝える必要があります。




しかし、チェリーボーイにはあまりにも酷な責務でした。気になる女の子だって混ざっているのに…。

(いま振り返れば、堂々と説明していたほうがオイシかった)



やむを得ず私たちは、気心の知れた 5人の男子だけに事情を説明し、最初に作った応援メッセージをそっくりコピーする作戦を取りました。

「トルコ」を「サッカートルコ代表」へと、そのまま置き換えて。

2回目の応援メッセージは、ナメクジ並みのスピードで仕上がりました。

 



因果応報


そんな手厚い応援の甲斐もあって、ワールドカップが始まるとトルコは大躍進を遂げます。

開催国である日本を破り、ダークホースとなったセネガルも破り、ベスト4まで進んだ韓国をも破り…

トルコ史上最高となる世界3位の成績を残しました!



私は確信しています。

歴史に残るトルコサッカーの躍進と、無垢な中学生にトルコ風呂の歴史を叩き込んでまで用意した応援メッセージが、無関係であったはずがないと。


「トルコ風呂」という蔑称に込められたトルコ人たちの怒りと、過去の日本人が作った愚かな単語に宿る「死後さらに強まる念」が作用して、両国の選手たちのパフォーマンスに影響を与えたに違いありません。

こういうのを因果応報と呼ぶのでしょう。




追伸

日本のサッカー関係者の皆様

本当に申し訳ございませんでしたぁぁ!





トルコ共和国の皆様

重ねて申し訳ございませんでしたぁぁ!

これにて みそぎは一段落とさせて下さい!!

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詠み人知らず
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