大卒がたぶん世界一多いサッカー日本代表。育成の柔軟さと選択肢の豊富さは国力につながるからブラボー!
執筆時点におけるサッカーの男子日本代表には、大卒選手がとても多い。
コンスタントに呼ばれてはいない選手も含めて数えたところ、なんと12人もいた。中退を含めれば14人まで増える。ブラボー!
三苫薫(高卒時にプロ入りできたが、あえて筑波大学を経由)
伊藤純也(神奈川大学卒)
守田英正(流通経済大学卒)
谷口彰悟(筑波大学卒)
旗手怜央(順天堂大学卒)
渡辺剛(中央大学卒)
古橋亨梧(中央大学卒)
シュミット・ダニエル(中央大学卒)
山根視来(桐蔭横浜大)
長友佑都(明治大学卒)
相馬勇紀(早稲田大学卒)
町田浩樹(高卒でプロ入りしつつ、通信制で早稲田大学卒)
上田綺世(法政大学を中退してプロ入り)
遠藤航(神奈川大学を中退してプロ入り)
これは欧州や南米ではありえない現象だ。
むこうの育成システムは、プロになるには下部組織からの昇格がほぼ一本道となっている。
高校にハイレベルな部活なんてないし、大学スポーツからプロ入りする選手もサッカーでは極めて少ない。
世界的にも珍しいシステムから優れた選手が数多く輩出されていることから、FIFA(国際サッカー連盟)がブラボー!と特集記事を出したほどである。
大学を経由してプロになる道には、メリット・デメリットの両面がある。
メリット
大卒資格が取れるため、セカンドキャリアが比較的安定する
プロの2~3部に匹敵するレベルの大学リーグで実戦経験を多く積める
高卒時には未熟だった選手にも、才能を開花させる時間的余地が与えられる
キャンパスライフによる人間的な成長が見込める
大学に在籍しながらプロとして活動できる制度(特別指定選手)もある
デメリット
大卒資格が取れず、活躍できずに引退した場合のリスクが高い
プロとして活躍、ステップアップできる時間的な価値が減少する。
高卒でプロ入りした選手で即レギュラーにはなれるのは、学年でわずか2〜3人である。長い下積みに耐えるか、下位クラブにレンタル移籍するケースが多い。
要するに、すぐにプロでスタメンを取れるような実力がなければ、大学サッカーを経由した方がよい場合も多いのである。
また、高卒時点ではプロ入りできなかったものの、大学在籍中に一気に才能が開花するケースは多い。
日本人ではじめて欧州リーグのMVP・得点王となった古橋や、長年にわたってセリエAのインテルで活躍したアモーレ長友などが、その最たる例だろう。
そして、日本代表にまで上り詰める選手には、そういった挫折を成長の機会に変えたトレビアンな選手が多い。
そんな背景から、高卒時にプロよりも大学を優先する選手が増えているらしい。これは素晴らしいことだ。
日本の育成システムは、前述したFIFAの記事にこう評価されている。
この原理は、サッカー以外にもあらゆる仕事で成り立つ。
Noteを例に挙げれば、岸田奈美さんのように文筆で生計を立てられるようになった方が輩出されている。
もし、文章を書く仕事に大卒資格やドラフト指名が必要であれば、そもそもこんなサービスは成立していなかった。優れた作家の卵たちも才能を腐らせていただろう。
つまり、育成の柔軟さと選択肢の豊富さは、国力につながるってワケだ。
サッカーの男子日本代表はそれを雄弁に物語っている。
大学で学びなおす社会人が増え、転職が当たり前になった現代社会では、この考え方は極めて重要だと思う。ブラボー!
病気の弟とバレエダンサーを目指す妹がいまして立派なお兄ちゃんであるために金が必要なんですという芝居のレッスンを続けるために一杯奢ってください。