カブトムシ・クワガタは越冬できる? 昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんが解説
夏に捕まえてきたカブトムシ・クワガタが秋まで長生きしている方もいるかと思います。カブトムシの場合は、たくさんの幼虫が生まれてきて、一生懸命お世話をしている人もいるでしょう。
今回の記事では、カブトムシ・クワガタを飼育する上で、冬はどのように管理するのがよいのかをお話しします。
日本産カブトムシ・クワガタのライフサイクル
6月から8月にかけて、森にカブトムシ・クワガタを探しに行った経験がある方もいるかと思いますが、9月以降はめっきり見なくなってしまいます。
というのも、カブトムシ・クワガタの成虫の多くは秋になる前に死んでしまうことが多いからです。まずはカブトムシ・クワガタの、それぞれのライフサイクルについてお話しします。
カブトムシは6月頃に成虫になり、野外で活動を始め、8月下旬頃には死んでいきます。その間にオスとメスが出会い、交尾をして、メスは腐葉土の中に産卵します。
9月以降は森の腐葉土の中で、幼虫がすくすくと成長しています。幼虫は次の年の5月頃まで腐葉土の中で成長するため、寒い冬の間も腐葉土の中で越冬しています。そして5月頃から蛹(さなぎ)になり始め、6月に新しい成虫が羽化します。
クワガタは種類によってライフサイクルが異なります。簡単に分けると、「野外活動の後に成虫で越冬できないグループ」と、「野外活動の後も成虫で越冬できるグループ」の2つがあります。
ノコギリクワガタやミヤマクワガタは、野外で活動したあとは越冬ができず、多くの個体が秋には死んでいきます。ただしカブトムシと同じく、夏の間に産卵を行っているため、秋から来年の春にかけて幼虫が朽木や腐葉土の中で成長します。
それに対して、コクワガタ、ヒラタクワガタ、オオクワガタなどは、野外で活動した後も成虫で越冬することが可能です。オオクワガタは飼育下で成虫が5年以上生きたという記録もあるようです。そのため秋になっても、幼虫も成虫も自然の中を生き抜いています。
では家で飼育しているカブト・クワガタは、冬の間どのように管理すればいいのでしょうか?
カブトムシ(幼虫)の管理方法
カブトムシの幼虫は腐葉土を食べるため、ホームセンターやペットショップなどで購入可能な、カブトムシ専用の昆虫マットなどをたっぷり入れたケースで飼育します。
カブトムシの幼虫は複数で飼育することが可能なので、1つのケースに数匹一緒に入れて管理しても問題ありません。冬になるとあまり餌を食べなくなり、腐葉土の中でじっとして冬を乗り越えます。
そのため、カブトムシの幼虫を飼育するときは、冬場もある程度寒くなるような玄関や、直射日光や雨が当たらないベランダなどにケースを置いておくのがよいでしょう。彼らは寒い冬も乗り越える力を持っているので、腐葉土が凍ったりしない程度であれば、寒さを心配する必要はありません。暑くなりすぎないような季節までは、そのままベランダで管理して問題ありません。筆者は、彼らが蛹になって羽化するまで、ベランダで管理することも多いです。
また寒い場所にケースを置かずに冬の間も20〜25度程度で管理すると、冬から春の間に成虫が羽化してしまうこともあるようです。ただしそのような温度管理をすると、電気代が高くなってしまうことがデメリットです。
クワガタ(成虫)の管理方法
クワガタについては、成虫で冬を越えられるコクワガタ・ヒラタクワガタ・オオクワガタなどの成虫の管理についてお話ししていきます。
気温が20度を下回るような11月頃になると、少しずつ彼らの活性が下がり、餌を食べずにマットから出てこなくなります。飼育下では、彼らは昆虫マットの中に潜って越冬します。
そのため11月頃になると、彼らが潜りやすくなるように、個体の大きさに合わせて昆虫マットを5〜10cm程度敷いてあげましょう。マットの種類は特にこだわる必要はなく、ホームセンターなどで販売されている一般的なもので問題ありません。
筆者は成虫飼育用のヤシガラチップで越冬させた経験もあります。
越冬の際、一番気をつけないといけないのは【乾燥】です。マットが乾燥していると、春を迎える前に死んでしまうことがあります。そのため、しっかりと霧吹きなどでマットを湿らせておく必要があります。
おすすめなのは、クリアスライダーやコバエシャッターなどの、空気穴が小さいケースを使うことです。これらのケースは乾燥しにくいため、カブトムシ・クワガタの飼育におすすめです。蓋がメッシュ状になっているケースを使用している場合は、蓋の間に穴の空いたビニールなどを被せておくと、乾燥防止になります。
そしてもうひとつ気を付けるべき点は、「そっとしておくこと」です。
彼らは冬の間は活動しないようにじっとしています。それにも関わらず、マットを掘り返したり、触ったりすると無駄な体力を使わせてしまい、冬を乗り越えられずに死んでしまうことがあります。越冬中はマットの交換や観察などは行わないようにしましょう。
うまく越冬ができると、4月頃にマットから出てきて活動を再開します。春頃になると活動を再開していないかを確認して、昆虫ゼリーなどの餌を入れてあげるようにしましょう。
外国産カブトムシ・クワガタの管理方法
日本産だけではなく、ホームセンターやペットショップで売られているような外国産のカブトムシやクワガタを飼育している人もいるかもしれません。彼らは上記のような、日本産のカブトムシ・クワガタムシと同じ管理方法をしてしまうと、冬に死んでしまう場合があります。
海外のカブトムシ・クワガタムシは日本産のものとは違って、寒い冬を乗り越えられない種類が多くいます。そのため、冬になっても20〜25度で管理できるような仕組みを作ってあげる必要があります。外国産カブトムシやクワガタを購入する際は、冬の温度管理をどのように行うかを考えた上で購入しましょう。
【著者プロフィール】
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。
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