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牛肉を食べると地球温暖化が進む!?その理由を解説

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牛肉を食べると地球温暖化が進む理由を知っていますか?新しいライフスタイルに「クライマタリアン」はどうでしょうか?

写真=イメージ画像。出典:フリー素材ドットコム

「食」と温室効果ガスの関係

私たちが生きていく上で欠かせない「食」。この「食」が気候変動に影響を及ぼしていることを知っていますか?

2019年、ニューヨークの国連本部で「国連気候行動サミット2019」が開催され、各国は温室効果ガスの排出削減と、環境汚染に繋がらない廃棄物の排出を目指すよう求められました。

2019年はこのサミットに先駆けて、気候変動対策のみにテーマを絞った、若者による「ユース気候サミット」が開かれました。温室効果ガス排出量削減の加速化を訴える若者に発言の機会を与え、政策決定者との対話に道を拓くことが狙いでした。

この場には、当時16歳だった環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの姿もありました。グレタさんは2018年に、温暖化対策を訴えるストライキ「Fridays For Future(未来のための金曜日)」を始めたことで、世界から注目を集め始めました。日本では現在、彼女に共感した若者を中心に、全国各地で活動の広がりを見せています。

同年、IPCCの「土地関係特別報告書」は、食料システム(食料の生産、加工、輸送及び消費に関わる一連の活動)と温室効果ガス排出量の密接な関係を指摘しています。具体的には、人間が排出する温室効果ガスの2~4割は、食料システムに関係していることや、食料システムに関連する政策(例:食品ロスを無くそうとする取り組みなど)は、気候変動対策に即効的な利益をもたらすことが書かれていました。

IPCCとは国連気候変動に関する政府間パネルの略称です。各国政府から推薦を受けた科学者が5〜6年ごとにその間の気候変動に関する科学研究から得られた最新の知見を評価して、評価報告書(assessment report)として公表しています。

IPCCの報告書を受け、日本政府は「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」の中に、大豆を主原材料とした代替肉の推奨を組み込みました。肉類は特に、温室効果ガス排出量への影響が大きいとされているためです。
 私たちの食事と温室効果ガスの関係が、注目を集めていることが分かります。

しかし、なぜ食べることが温室効果ガスの排出量に影響するのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。

その仕組みとは何でしょうか?

牛肉を食べると地球温暖化に?

「食」と温室効果ガスの関係の中でも、特に注目を集めているのが、家畜が温室効果ガスにもたらす影響です。

温室効果ガスとは、大気中に存在する、熱を吸収するガスのことです。このガスが増えると地表付近の気温が上がり、地球温暖化へと繋がります二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロンガスは、人間の活動によって増加した温室効果ガスです。

国連食糧農業機関の2013年報告によると、世界の温室効果ガスの内約14%は、家畜から排出されているそうです。

中でも牛の影響力は甚大で、内4%は牛のげっぷに起因しています。牛のげっぷは、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンによって構成されており、現在世界に15億頭の牛が存在することを考えると、その影響力の大きさは容易に想像できます。

 生産過程で排出される温室効果ガスも多く、豚肉が1キロ当たり7.8キロ排出するのに対し、牛肉は約3倍の23.1キロを排出するそうです。

 つまり私たちが牛肉を食べることで畜牛の需要は維持され、温室効果ガスの排出量は増え続ける。結果として、地球温暖化が進むのを私たちが手助けしているという仕組みになっているのです。地球温暖化が社会に及ぼす影響には、気温上昇や干ばつによる食料システムの崩壊も含まれています。牛肉を食べるほど、将来の食料安全保障が脅かされているのです。

日本人の食事の中で最も温室効果ガスを排出している食物は肉類だそうです。野菜はその約2分の1、豆類は約10分の1の量に抑えられています。

クライマタリアンという生き方

写真=イメージ画像。出店:pixabay.com

では、わたし達は毎日の生活の中で何ができるでしょうか。

地球に優しい食事スタイルは複数ある中、この記事ではクライマタリアンという新しい「食」のライフスタイルを提案します。

クライマタリアンとは、気候変動に悪影響を及ぼさない食事の選択をする人のことを指します。気候を意味する「climate」から生まれた造語です。特定の食品を食べることを辞める訳ではないので、ヴィーガンやベジタリアンよりも比較的始めやすいという特徴です。

例えば、環境負荷の低い大豆で作られた代替肉を食べる、牛肉より豚肉、豚肉より鶏肉といった温室効果ガスの排出量がより少ないものを選ぶようにする、今まで週5で食べていたお肉を週3で食べる、などの取り組み方ができます。

地球にも自分自身にも優しく慣れる新しいライフスタイルとして、クライマタリアンから始めてみませんか?


執筆者:市川南帆/Naho Ichikawa
編集者:原野百々恵/Momoe Harano


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