見出し画像

新東京ビル/アーティストインタビュー(川村摩那)

こんにちは!YOMAFIG.です。

新東京ビルオフィスフロアにおいては、誰もが気軽にアートを楽しめる空間として、2024年5月にリニューアルがなされました。
アートに関心はあったけれど、あまり触れる機会のなかった方もより一層アート鑑賞をお楽しみいただけるよう、館内のアートをご制作くださったアーティストご本人に作品の見どころやアートの楽しみ方を伺ってみました!

川村摩那
1995年生まれ 兵庫県出身
2018年 早稲田大学文学部 日本語日本文学コース 卒業
2023年 京都芸術大学 修士課程芸術研究科 美術工芸領域 油画専攻 修了

川村は自身が書き綴った詩や散文を元に、文章の中に立ち現れる情景や日本語のテキストそのものをモチーフにした絵画を制作している。
人間が言葉によって物事を知覚することに着目しながら生活の中で言語化できる物事とできない物事の両方に目を向け、自身で書いた文章とそれにまつわる具象をキャンバスに描き重ねていくことで、描かれた文字の形が崩れて他の図像と交わっていく様に言葉というものの移ろいや意味の変容を重ねて表現している。

主な展示に2024年「東 京都展」WHAT CAFE(東京)、2024年「UTSUROI」Tokyo International Gallery(東京)、2023年「ART in OFFICE "SESSEN"」DMOARTS(大阪)、2023年「カンサイボイスvol.2」nca | nichido contemporary art(東京)、
個展に2024年「mtk+ vol.18 / 川村摩那」MtK contemporary art .S店舗内(京都)、2023年 「そうして明くる日も明くる日も」haku kyoto(京都)
アートフェアに2023年「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2023」京都文化博物館別館(京都)、2022年「3331 ART FAIR 2022」3331 Arts Chiyoda(東京)

ー新東京ビルにかけられている作品について、どのような作品なのか教えてください!

「たえま」

新東京ビルがある丸の内近辺には、皇居の堀を渡るための橋がいくつもあることに着想を得てこの絵を描きました。

江戸時代にはこの場所もお堀で囲まれた内側にあったことが由来して「丸の内」になったそうです。
徳川家康が江戸に来て町を整備していく中でこの堀は江戸城を守るための役割だけでなく、水上輸送にも利用されて人々の生活と密接に繋がりを持っていました。
水が流れれば橋がかかる、人間の生活が生まれる。そのような歴史の上に現在の新東京ビルが建ってたくさんの人間と関わり合いを持ちながらオフィスとして機能していることに着目しました。

美大に入る前は文学部で日本文学を専攻されており、ご自身で書かれた詩や散文をもとに絵画を制作される川村さん。吉祥寺にある「百年」という古書店は川村さん行きつけの本屋さんなのだそう。
「単行本や文庫本だけじゃなく、アートやデザイン関係の古本や海外の雑誌、アーティストのZINEなど幅広く扱っており、アートの展示やイベントも開催されています。取り扱ってる書物は珍しいものばかりで気になるものを手に取って見ているとあっという間に時間が過ぎます。」ー川村さん

YOMAFIG.

ー作品をどのように眺め、どのように楽しめば良いでしょうか

私は自分で書いた詩や散文を元に、文章の中に立ち現れる情景や日本語のテキストそのものをモチーフにした絵を描いています。

最初の質問で述べたような、その土地ならではの歴史や文化的な背景をリサーチして、それを自分なりに言葉にまとめて、それから絵を描きます。自分で見たり聞いたり、調べたりした事柄を言語化しようとする際に全部を的確な言葉で表現することはやはり難しいです。私という人間が持っている五感や感受性など、感覚的な要素と向き合うことが必須になります。
そういった言葉として察知できるものとできないものの両方を絵の中で表現しています。

私たち人間は物事に名前がついているから認知することができます。その一方で名前のないものは日常の中にたくさん存在しています。私の絵を見たことがそういったものに目を向けてみるきっかけになれば幸いに思います。

ーすこしアートに興味が出てきたけれど、どこで作品を見たり買ったりすれば良いかわからない…そんな方におすすめのアートの楽しみ方やアドバイスがあれば教えてください!

絵のみならずアートに触れることができる場所は美術館やギャラリー、デパートの展示場など様々にありますが、まずはご自身の住まれている地域の美術館や近所のギャラリーなど訪れてみてください。作家の名前も知らないし作品についてもよく分からないということが多々起きると思いますが全然大丈夫です。

そのあとのことで私がおすすめしたいのは、その展示の概要をまとめたステートメントや作品説明のキャプションがあったらぜひ目を通してみてください。そして、そこに書かれている人物などの固有名詞や美術用語でなんだこれ?と思ったものをメモしてネットで検索してみてください。

そしたらその用語の説明とともに、他の作家の作品や、他の展覧会の情報が出てくると思います。そしたらその中から気になるものを見つけてまた見に行ってみる、これを繰り返すとなんとなくご自身の好きな系統の作家やお気に入りのアートスポットと出会うことができると思います。そしたらより一層アートを楽しむことができますよ。

ひと昔前までは「アートに言葉はいらない!」という考えも多かったですが、アートは言葉があることでより深い理解や共感が可能となり、アートをもっと好きになれるように思います。

ステートメントやキャプションに書かれている美術用語は最初は聞き慣れないかもしれませんが、ステートメントやパンフレットなど持ち帰れるものも多いので、皆様も気になった言葉は調べて楽しんでみてくださいね。

川村さん、有難うございました!

YOMAFIG.

いいなと思ったら応援しよう!