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丸の内パークビル/ラウンジアート③吉見紫彩
こんにちは!YOMAFIG.です。
BRICK 8のアートを制作して下さったアーティストの吉見紫彩さんの作品についてご紹介致します。
吉見紫彩
1990年大阪生まれ。東京在住。
即興性・非再現性を取り入れつつ制作される作品は、神話や儀式、伝承、風習といった人類固有のモチーフと接続されることで、偶然と必然、普遍と固有、矛盾する感覚が同時に成立する体験を探求しています。
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あいにくの雨の下見で作品イメージを思いつく
ー現地を下見した時の印象はどうでしたか?
(吉見)
ちょうど依頼を受けたのが5月ごろだったのですが、下見に行かせていただいた際は梅雨に差し掛かるころで小雨が降っていました。現地に行くまでは雨で嫌だなぁと思っていたのですが、いざビルに着くと雨の中で中庭の緑が気持ちよさそうに青々と輝いていました。
普段、都市生活を送っている中で雨や風を感じる機会は少なく、どちらかというと邪魔者扱いをしていると思います。しかし、その下見の時に見つけた光景に「丸の内にもこんなところがあったんだ」という新鮮な驚きを感じ、丸の内という都心の中の都心、またビルの8階という場所でも、オフィスワーカーの方が忙しい日常の中でふと心地よいお庭や雨風を感じていただけるような作品を作りたいなと考え始めました。
丸の内パークビルと三菱一号館美術館に囲まれた中庭は「一号館広場」と呼ばれ、1894年に竣工した初期の三菱一号館の設計者コンドルが母国イギリスを偲んでバラを庭園に用いていたそう。
一号館広場では三菱一号館が竣工した年代のオールドローズを初め、40種を越えるバラを広場の中心に用いると共に、四季を通じて彩りを楽しめる花木を植栽しているとのことです!
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参考にしたのは、あの有名な屏風画
ー吉見さんはラウンジに設置される他のアーティストの作品との関係も考えて制作されたと聞きましたが、どのような点を工夫されたんですか?
(吉見)
はい。今回、同じエリアに設置される作品を担当する他のアーティストが新井碧さんと藤本純輝さんだと聞いていたので、お二人とも植物をモチーフに絵を描かれることの多い方だったことから、私はその二人の描く絵を潤すように雨と風の絵を描こうと思いました。
というのも、有名な俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を、尾形光琳が模写していたことをご存知でしょうか?
実はその尾形光琳作の「風神雷神図屏風」の裏には、光琳を師と仰いだ酒井抱一が別の絵「夏秋草図屏風」を描いていたという逸話があります。(今は保存上の理由で取り外され、別の屏風に仕立てられています)
そこには風神雷神の吹かせる雨風に打たれる夏草と秋草が描かれているのですが、その存在を知った時、先達をリスペクトしながら、それに呼応する作品を描く粋な計らいと手腕に感動しました。
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そこで、私も尊敬するお二人の作品の豊かで微細な色彩や作風を邪魔せず、より引き立つように、本作は最小限の色彩にしつつ、お二人の作品と合わせて見たときに全体で一つの庭園空間のように感じていただけるよう、作品を制作しました。
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見頃は初夏!移ろう季節や時間と共に、光を楽しんで
ーそれでは、最後に作品の注目してほしいポイントがあればお聞かせください!
(吉見)
今回、私は2作品を制作させていただき、それぞれに「慈雨」「薫風」というタイトルをつけております。
慈雨は万物を潤す恵みの雨、薫風は新緑の香りを運ぶ風のことで、五月から六月ごろの初夏の季語です。この作品は初夏の頃に一番季節とも合って映えて見えるのではないかなと思います。
とはいえ、ラウンジは春夏秋冬、朝から夜まで人が利用してくださるスペースなので、画材にはメタリック・パール系の絵の具やラメのように輝く岩絵具など、様々な光の反射の仕方をするマテリアルを使用しました。
季節や時間帯、また座る場所によっていろんな作品の表情を楽しんでいただけると思います。
皆さんにとって、庭園に吹く風や雨のような柔らかく爽やかな存在になれると嬉しいです!
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最後までご覧いただきありがとうございます!
アートについて、気になることやご相談があればいつでもYOMAFIG.までお気軽にご質問頂けましたら嬉しいです。
それでは、お仕事の合間に作品をご鑑賞頂き、ありがとうございました!