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#短篇小説

呼ばれ、惑う。

呼ばれ、惑う。

「月が怖いの。満月を見上げると、まるで誰かに呼ばれているような気がして……」

大学最後の夏、学生らしいことがしたくて、友人たちと河原で花火をした日。熱気が重くのしかかるような熱帯夜だったと思う。

年甲斐もなく小学生のようにはしゃいだ帰り道、駅までの道を辿りながらふと夜空に浮かぶ満月を見上げていたときだった。
隣を歩いていた彼女がポツリに言ったのだ、「月が怖いの」 と。

私たちの祖先にとって、

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