久石譲ジブリコンサート@ミュンヘン に行ってきた!
こんにちは!
オーストリア在住のペンです。
5 月の下旬、ドイツ ミュンヘンにて開催された久石譲さんのジブリコンサート『JOE HISAISHI SYMPHONIC CONCERT:Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki in Muenchen』に参戦してきました!
久石さんのジブリコンサートといえば、なぜか近年日本ではおこなわれません。
YouTube にあがっている 2008 年の武道館コンサートを、何度うらやましいと思いながら見たことでしょう。
ちなみにジブリコンサートは、 今年 4 月にはフランスのパリでおこなわれたり、今後はロンドンやアメリカでも大規模にツアーをおこなったりと、言わずもがな海外でも大人気のコンサートです。
Olympiapark München の公式サイトでは、今回のコンサート開催にあたり、久石さんについてこのように紹介されていました。
今回のドイツ公演も、ミュンヘンだけでなくデュッセルドルフでも開催されました。
オーストリアにいる私にとってはミュンヘンのほうがアクセスがよかったため、そちらを買うに至りました。
チケットは半年以上前の 10 月に購入。
一生に一度かもしれないと思い、カテゴリー 1 の 110 €の席にしました!
では、思い出記録もかねつつ、当日のことを書いてみようかなと思います♪
▼ オーストリアからミュンヘン中央駅まで
私はオーストリアのリンツという、ミュンヘンに近い都市に住んでいます。
今回は高速バスで行くことにしました。(陸路でちがう国に行けるすごさ)
リンツ⇔ミュンヘン間は、FLIX(フリックス)バスで片道 3 時間半。
20 €(約 3500 円)で行くことができます。
コンサートは 20 時からだったので、当日移動ができてありがたかったです。
経路の途中、ドイツに入る段階で検問があり、乗客全員のパスポートチェックや質問される時間がありました。
「何日滞在するのか」
「何の目的でドイツに入りたいのか」
といったことを口頭で警官に聞かれました。
14 時に出発し、ミュンヘン中央駅に到着したのは 17 時 40 分ごろだったと思います。
バスターミナルと中央駅舎は少し離れており、徒歩 10 分はかかります。
私は駅でパンを購入し、地下鉄のチケットを買ってすぐに会場へ向かいました。
▼ 会場到着!ミュンヘンオリンピアホール
今回の会場となったのはミュンヘンオリンピアホール(MunichOlympiahalle)。
競技場の横にある室内スタジアムで開催されました。
最寄りの地下鉄駅「Olympiazentrum」で下車してからホールに行くまでは少し離れているのですが、写真のとおり、どでかいオリンピックタワーがあるので遠くからでも場所が分かりました。
また、電車に乗っている時点で、私と同じ目的をもった乗客がわんさかいたので、「みんなと同じ方面に歩けばいいか~」と思い流れるままに歩きました(笑)。
オリンピックタワーの近くまで着くと、すでに開場を心待ちにしているファンでごったがえしていました。
ここで一つ『海外らしいなあ』と思ったことが。
1 万 5000 人が一堂に集まるほどの大混雑にもかかわらず、みんなまったく並ばない!
厳密に言うと、開場まではいくつかのラインがちゃんとできており、私もその一つに並んでいたのですが・・・
開場されたとたん波のように列が崩れていき、後ろから抜かされるわ抜かされるわ・・・。
どこにドアがあるかも見えない状況の中、私もとにかく前に進むしかありませんでした(汗)。
あらためて日本人のマナーのよさ、規律を守る精神のすばらしさを感じました。
▼ ホール内の様子
写真は一番上の地点からとったもの。
すでにたくさんの人が待っていました。
わたしの席からの見晴らしはというと・・・
控え目にいって最高でした!
席は16 列目です。購入の際、もっと前の席も同じ値段で残っていたのですが、端っこしか残っていなかったのです。
真ん中で聴きたい!と思い、今回の席にしました。
開演までのあいだ、すてきなヒーリングミュージックとともに、ジブリらしい自然のアニメーションが流れ続けていました。
少しずつ、わくわく感にも現実味が増してきました!
▼ 開演!コンサートは2部構成
今回演奏してくれるのはミュンヘン交響楽団(Munich Symphony Orchestra)。
また、合唱はミュンヘン・モテット合唱団(Münchner Motettenchor)が担当してくれました。
ソリストについては後述しますが、本コンサートの 2 日前におこなわれたデュッセルドルフでもすべて、同じかたたちが演奏を担当してくれました。
セットリストは以下のとおりです。
先述のとおり、わたしは 2008 年のジブリコンサートしか見たことがなかったため存じ上げなかったのですが、セットリストはほぼ当時と変わっていませんでした!
少し前にロンドンで開催された公演では、アンコールのひとつに『君たちはどう生きるか』が演奏されていましたが、今回の公演ではありませんでした。
プチ発見。これも海外公演ならでは!
各映画が奏されるとき、まずはスクリーンに映画タイトルが表示されるのですが、日本語で書かれているのでその時点ではまだ、会場はシーン・・・。
演奏が始まって、なんの映画の曲かわかってからようやく歓声が起きていて、少しおもしろかったです(笑)
個人的に、歓声が大きいなあと感じたのは、
『魔女の宅急便』
『もののけ姫』
『崖の上のポニョ』
『千と千尋の神隠し』
『となりのトトロ』
あたりでした。
特にもののけと千尋はやっぱり人気なんだなあ、と。
実はわたし、2023 年 3 月におこなわれた、久石さんのウィーン楽友協会デビューコンサートも運よく鑑賞できていました。
そのときメインの曲目に選ばれたのも、もののけ姫でした。
ピアノアンコールでは千尋の「あの夏へ」が演奏され、大大大喝采でした。
個人的に印象に残ったこと!
個人的にグッときたのは、意外にも(?)『天空の城ラピュタ』の、「ハトと少年」。
この曲だけ、マイクを通していない "生” の音で演奏されたからです。
2階席のだれも座っていないところで、トランぺット3名が下手側、ホルン3名が上手側に立ち、ノー伴奏のアンサンブルで曲が始まりました。
私は1階で聴いていたので、遠くまで鳴る澄んだ音色が上からも横からもふってくるような感覚を覚え、そのうまさに感涙しました。
曲がりなりにも、小学生のころからピアノやサクソフォンといった音楽を10年以上やってきているので、やっぱり生音で聴くのは大好きです。
あとはやっぱりトトロかなあ。
井上あずみさんの「となりのトトロ」がもともと大好きなのですが、
オーケストラ版では、とっても静かで落ち着いた始まりかたをするんですよね。
映画の最後に、メイとさつきが母の病院にトウモロコシを置き、木の上から両親を眺めているときに流れているやつです。
そこからコントラバスが少しずつ刻み始め、盛り上がっていき、元気な曲調で「だ~れ~かが~♪」と再スタートする流れになっています。
どちらも同じうたなのに、泣きそうにもなるし、笑顔にもなる。
遠い記憶になってしまった自分の子どもの頃を思い出したり、逆に「明日も頑張ろう」と前を向けたり・・・
どうしてこんなに素敵な曲なんでしょうかね。
わかりません。
圧巻のソリストのみなさん!
『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』では歌のソリストが登場。
『魔女の宅急便』の「母からの手紙」では、もちろんコンマスソロもありました。
(『風立ちぬ』ではマンドリンのソリストが出演されました。)
もののけを歌われたのはソプラノ歌手の Ella Taylor さん。
▼ Ella Taylor さんの紹介サイト
自身の性別にとらわれないソプラノ歌手としてオペラ界を渡り歩いているかただそうです。
ガーディアン紙で「温かいベルベットのマントに包まれた鍛え抜かれた鋼のような声」と評された歌声は、圧巻としか言いようのないものでした。
久石さんがInstagramにソリストたちとの写真をupされていましたが、その投稿に「あのソプラノ歌手の名前はなに?!」とコメントしているかたがいらっしゃるほどでした(笑)。
千尋のソリストのかたは残念ながらお名前が分からず・・・。
平原綾香さんの歌声にそっくりで驚きました!!
音程によって息を多く含んだ歌いかたをするところ、高音がとてもまろやかなところ、たまにしゃくりが入るところ。
あたたかな歌声で、見事に映画とマッチしていました。
2名のソリストのすごかったところは、すべて日本語で歌われたこと。
さらには発音までしっかり研究されているところ。
いわゆるカタカタ日本語ではなく、2人の見えない努力にも脱帽でした。
個人的に好きな曲のひとつ、魔女宅の「母からの手紙」では、ミュンヘン交響楽団の第一コンサートマスター、Marian Kraew さんがソロを担当されました。
ブルガリア人ですがドイツ生まれのかただそうです。
▼ ミュンヘン交響楽団の公式サイト、写真の一番左に映っているかたです。
▼ Marian Kraew さんの紹介サイト
2008 年の武道館公演では、新日本フィルのソロコンサートマスター、豊嶋泰嗣さんが演奏されていましたね。
そちらの演奏しか知らなかったわたしは、弾き方の違いにも感心しました。
豊嶋さんの演奏は、曲名にもリスペクトがあるような、母性を感じる演奏に聴こえます。
親が子を見守っているときの目線で弾いているような・・・。
Marian Kraew さんの演奏は、映画の雰囲気を再現したかのような、カモメが海上を飛び、カラフルな家が並び、すこやかな風が吹いている映画のシーンを彷彿とさせる演奏に聴こえました。
どちらかというと豊嶋さんは内向的で、Marian Kraew さんの演奏のほうが外交的な印象でした。
▼ まさに、一生の思い出。
コンサートはスタンディングオベーション、大喝采のなか終演しました。
ジブリにも久石さんの音楽にもまったく携わっていないのに、日本人であるというだけで、誇らしい気持ちが消えませんでした。
そのくらい国を代表する大作曲家であり、名作であり、そして宮崎駿さんも名監督であると。
もうこの拙い文章力ではあらわせないのですが、そのすごさは皆さんにとって「今さらだな」という感じでしょうから、あえてここで熱く書かなくてもよい気がしたので終わります(笑)。
前回のウィーンデビュー公演につづき、また一生の思い出が増えました。
ふつうに過ごせたらあと 60 年くらいは生きられそうですが、あと何回、こんな経験ができるでしょうか。
久石譲さん、素晴らしい音楽をつくりつづけてくださり、本当にありがとうございます!