”ヨックモックの缶”の歴史!お菓子缶研究家・中田ぷうさんと巡る金方堂ショールーム!
ヨックモックの「缶」を作り続けてくれる金方堂松本工業株式会社さん。本社には、一般的には開放していない、お菓子缶のショールームがあります。金方堂さんはなんと今年で創業118年!まさに缶作りの先駆者であり生き字引と言えます。今回は、「素晴らしきお菓子缶の世界」の著者でもある、お菓子缶研究家の中田ぷうさんと共に、このショールームを見学してきました!
出迎えていただいたのは、金方堂の竹内会長・松本社長、印刷を担当する千田取締役の御三方!ヨックモックに欠かせない「缶」を50年以上に渡って共に作り続けてきた、パートナーシップについてもお聞きしました。
ショールーム見学!
さてさて、金方堂さん本社に着くと早速ショールームへ!こちらでは、さまざまな缶が800缶ほど展示されているそうです。
中田さんをはじめスタッフ一同、大興奮でさまざまな缶を手に取ります。
ショールーム見学がようやくひと段落して、金方堂さんと中田さんが缶についてのこだわりをお話ししてくれました。
創業から缶作り一筋118年!
― 金方堂松本工業株式会社さんってすごく歴史ある会社ですね。
松本:曽祖父が初代で、1905年に「金方堂松本ぶりき製缶所」として創業しました。今年で118年目なんですよ。
中田:創業が明治時代なんですね!
松本:私が4代目(5代目社長)です。当時から、お菓子の缶や茶筒などを作り続けてきました。
― 当時は、ブリキの加工も今とは全然違っていたのでしょうか?
松本:現代は大量生産も可能になりましたが、当時は、手作りで1つ1つ作っていたので、今ほど大量には作れなかったと聞いています。作っている「缶」は大きく変わらないですが、その精度や生産工程は進化し続けています。
中田:金方堂さんの、特徴的な缶はあるんですか?
松本:「組上缶」は特徴的ですね。当時、四角い缶が一般的でしたが、1枚のスチールを組み上げることで作る角缶は珍しかったと思います。1970年代に2代目代表だった祖父がヨーロッパで探してきて、国内初のパテント(特許権)を取得しました。実は、この技術を使って作った第一号が、ヨックモックさんの缶だったんですよ!
中田:へぇ〜!そうなんですね!
松本:最初に採用していただいてから、現在に至るまで、ずーっと使い続けていただいています。そして、人気も落ちないので、弊社の最も特徴的なデザインと技術だと思います。
人と人のつながりこそがパートナーシップの鍵。
―ヨックモックの前身会社時代からヨックモックの缶を作り続けているそうですが、どうやって両社の関係が始まったんですか?
千田:最初は、ヨックモックさんからの電話だったそうです。
中田:普通の問い合わせだったんですね!
千田:まだ社名もヨックモックさんでない時代に、当時の社長さんからお声がけいただいておつき合いが始まりました。私たちもそれ以来、ヨックモックさんと一緒に発展してきたパートナーだと思っています。
― 50年以上もの長い間、取引が続いているのはすごいですよね。
千田:ヨックモックさんと私たち、双方のものづくりに対する熱い思いがベースにあるからだと思います。ヨックモックさんも、並々ならぬこだわりがありますし、私たちもそれに応え続けてきました。それが、結果的に約50年に渡るパートナーシップに繋がったと思います。
― 先ほど、14版(14回も印刷を重ねること)まで印刷するというような、ものすごい缶を見せていただきました。
中田:ものすごいこだわりですよね。そんな缶、流石に他には見たことがありません!そういうヨックモックさんの無茶振りにも応え続けてきた(笑)。
千田:無茶振りに応えてきたといえばそうかもしれませんね(笑)。14版は、他のクライアントさんではあり得ないお仕事なので、すごく思い出深いですね!
全員:(笑)。
千田:毎回「そんなことできるのか!?」って思うんですけど(笑)。作っていくうちに、今までにないものが出来上がっていく。それは、私たちにとってもすごくチャレンジングで、やり甲斐がある仕事なんですよね。いいものを作るために、お互いに力を合わせて作る。そのリレーションシップが自然と今に至るまで続いているんだと思います。
― 社内だけでは起こりにくいイノベーションを一緒に起こしているのかもしれませんね。
竹内:ヨックモックさんとのお仕事は、人のあたたかみのようなものもすごく感じます。お互いの良いところをきちんと出し合って、課題を乗り越えてきました。商売を超えた、信頼関係・人間関係、人と人のつながりが良いものづくりにつながっているように思います。
中田:素晴らしいですね!
ヨックモック缶にかける情熱。
千田:1991年に、現在の缶にリニューアルした時のことは、すごく印象的に覚えています。当時は、CMYKカラー4色の組み合わせで作るのが一般的だったんですが、調合して作る特色を掛け合わせて5色で作ることになったんです。
中田:へー!
千田:そうすると、ちょっとした配合の差で色合いが非常に変わってしまうので、ヨックモックさんとデザイナーさんも立ち会って、理想の色にするために何度も出し直したんですよ。
中田:すごい情熱ですね…!
千田:そういう努力を積み重ねた缶が、30年以上愛されて、使われ続けているんです。苦労が報われたように感じていますし、本当に一緒に作り上げた実感があります。パートナーとして、ヨックモックさんへすごく感謝しています。
中田:両社の情熱の賜物ですよね。私も、色々な缶を集めていますが、そういう思いが詰まった缶ってわかるものなんですよね。自分自身も、そういう思いを感じる缶でないと、欲しいと思わないし、特に長年使っている缶って、どこか真摯なものづくりへの姿勢が反映されているように思います。
中田:日本の缶と世界の缶では、蓋の閉まり方の滑らかさ、安全性など、全然作りも違いますよね。特に金方堂さんの缶は蓋の滑らかさがすごい。スッ、カチッととても気分良く閉まります。
― 角も鋭利でなく、安全性にも配慮していますよね。
中田:お菓子は、子どもも手に取るものですからね。缶の内側の処理も、防水加工をしているものがあったり、人が一つ一つ目で点検していたり、本当に丁寧に作られていることに驚きます。海外は、高級ブランドの缶であっても、作りの良くないものも多いんです。やはり金方堂さんの缶は、すばらしいものづくりをしてらっしゃいますよね。
竹内:機密性・安全性など技術的なこだわりはもちろん、デザインも素敵に仕上げることで、捨てずに使ってもらえるように工夫してきました。
中田:特に、ヨックモックさんの缶は、こうして色々な缶を見ると、印刷も本当に美しいことがわかります。発色もすごくいい。
スチール缶は、循環型社会の優等生!
― スチール缶って、リサイクル率もすごく高いんですよね。
松本:スチール缶は、SDGsで注目される以前より、3Rと呼ばれる
「Reduce(リデュース)=使い終わってからゴミの量を少なくすること」
「Reuse(リユース)=一度使ったものをゴミにしないで再使用すること」
「Recycle(リサイクル)=使ったものをもう一度資源として使うこと」
に力を入れてきたんです。
竹内:飲料缶なども含めて90%以上がリサイクルされているんですよ。
中田:9割ってすごいですね!
松本:包材の中でも、スチールの強みはこのリサイクル率だと思います。回収後に磁石で選別するので、他素材と比較すると再利用されやすいんです。
― あぁ!磁石でくっつくんですね。
竹内:リサイクルされるスチールは、建築関係の鉄骨や、ガードレールなどに再利用されます。
中田:リサイクルされず、私のように家でリユースする人も多いのかもしれませんよね!
― 中田さんは2,000缶以上をコレクションされているようですから、数%は中田さんのご自宅にあるのかも(笑)。
全員:(笑)。
松本:現在ですと、カーボン排出量の議論が多いですが、本来は3つのRをバランス良く考えていくことが重要だと思うんですよね。3つのRを網羅できるスチール缶は、循環型社会の優等生だと思います。ぜひ、中田さんのように、使った後も別の使い方をしていただけるのも、スチール缶ならではですね!
― リユースするだけで、環境への配慮につながるのは嬉しいですね!
ヨックモックとの思い出。
― 皆さんのヨックモックとの思い出があれば聞かせてください!
松本:学生の頃、ハワイにホームステイした時のことです。お世話になるご家庭に、ヨックモックをお持ちしたら「全く同じ缶を使っているよ!」って、見せていただいたことがあります。自分達が作っている缶が、海外でも当たり前に使われている缶だと知って、すごく感動したことがあります。
― お菓子食べた後、長い間リユースされてきたんでしょうね。
松本:えぇ。私がお持ちした新しい缶と交換したんですよ。とても思い出深いです。
竹内:私は、ヨックモックさんと作った二代目のシガール缶をお持ちいたしました。いまだにこのデザインが気に入っていてで、現役で使っているんです。非常に思い出深い缶なんですよ。
中田:やっぱりこの缶は特別ですよね!私も、今日同じ時期の缶をお持ちしています。
会長:すごく綺麗に保管していただいていますね。
中田:缶にシールまで付いていますからね(笑)。
― 中田さんは、ヨックモックとの思い出はありますか?
中田:私にとって、ヨックモックはどんなシチュエーションでも自信を持って渡せる手土産なんです。
― どういうことですか?
中田:編集の仕事をしている時に、ハリウッドセレブなど世界からのお客さまに手土産をお渡しする機会が多くあったんですね。そういう時って、かなり色々と気を遣わないといけないんです。ヨックモックの美しい缶とおいしいお菓子をみんな喜んでくれました。実は、そういうお菓子ってあまりないんですよね。
松本:缶の包装は、スーツケースに詰め込んでも、お菓子が潰れないから、お土産にぴったりだと、喜ばれる方もいらっしゃいました。
― あぁ。繊細なクッキーを守ってくれますもんね!
中田:だから迷ったら、手土産はヨックモックにすると安心なんです!
― 今日は、ありがとうございました!
全員:ありがとうございました!
金方堂さんショールームで見るヨックモックの歴史!
金方堂さんのショールームには、ヨックモックの缶もたくさん!
スタッフですら見たことのないレアなものや、昔のものも数多くありました。一部をご紹介いたします!
缶マニアならずとも、夢中になってしまう。そんな魅力が缶にはあります。お菓子と缶、どちらも妥協せず、これからも素敵な商品を作り続けていけたらと思います。
工場見学編もお読みいただけると嬉しいです!
(おわり)