「分」を含む140字小説5編

今月「140字小説コンテスト」に応募した小説をまとめます。

「分」を含む140字小説5編

1

「先輩、これお裾分けです」「クリームシチューじゃん!」「先輩、お店でなかなか見かけなくて食べたいって言ってたから。ちょうど昨日作りすぎちゃって」「やったー!ありがとな。タッパー洗って返すわ」本当は、先輩と少しでも話したくて、はりきって作ったんだけど、それは内緒。感想が楽しみだな。

少し実体験も入っていたり。

2

後3分で今日が終わる。救急車のサイレンが聞こえる。部屋に1人、寒くて心細い。賑やかな1日の終わりほど、余計に虚しい。もう布団に入ってしまおうか。いや、でも。時計の短針が1周、2周。ガチャガチャッ。「遅くなってごめん!お誕生日おめでとう!」抱きつく間に、長針はてっぺんを通りすぎた。

私の好きな某曲からインスパイアされてできました。

3

分不相応だと思いつつ、母がくれた真珠のネックレスをつける。華やかな母と純朴な父の間に生まれた私。自信のない私を母は着飾り、笑顔でいれば大丈夫とにっこり笑う。父は慈愛に満ちた表情で見守った。「行こうか」父と手を繋ぎ、一歩踏み出す。扉を開けた先には、少し緊張した最愛の人が待っていた。

憧れますね~。去年行けなかった友人の結婚式の写真をおすそ分けしてもらったんですが、本当に綺麗で幸せそうで。私も幸せをもらいました。祝電喜んでもらえてうれしかったです。

4

「寒いね~。あ、コンビニ!入ろうよ!」手を引く君についていく。「肉まん買って!」仕方ないなぁと1つ注文し、彼女に手渡す。「あったか~い!はい、半分こ」半分の肉まんを受け取るやいなや、彼女は頬張って目を輝かせる。いつまで半分こしてくれるだろうと小学生の娘を見つめながら、帰路につく。

冬の肉まん、鯛焼きはずるい。おいしすぎる。

5

「ただいま」「おかえり」手洗いうがいを済ませて食卓に向かうと、鍋からほかほかの湯気が立っていた。お椀にお味噌汁をついでくれる間に、ごはんを2人分よそう。「いただきます」「はいどうぞ」お味噌汁を飲むと、冷えた体に染み渡る。具沢山で少し塩分控えめの優しい味が、体も心も満たしてくれた。

お味噌汁って、ご家庭やお店によって様々で、愛を感じます。

気がつくと、全体的に甘め温かめになっていました。寒いし、バレンタインデーも近いし、ということにしておきます。

今月の文字「分」を使った140字小説5編をお送りしました。
応募は以下の通りです。

こちらのアカウントで、素敵な作品の数々が掲載されています。

みなさんどんな風に考えていらっしゃるんだろうなぁ。私は漢字を調べてぴたっとくる単語や熟語に出会うと世界が広がる感じで、夢中で書いています。10分弱から30分ほどで1作、1回5本集中して書いています。

久しぶりに短編小説を書き出しだけ書いています。昔タイトルだけ思いつき温めていたもの。どんな作品になるかしら。春には書き上げられるといいな。

サポートしてくださる方、ありがとうございます! いただいたサポートは大切に使わせていただき、私の糧といたします。