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思い出の2曲

子どもの頃、寝るときにかかっているCDがあった。アパートから実家に引っ越したのが幼稚園卒園間際であり、そのCDは実家で聴いていたから、既に小学生だった。よくある、おやすみ前の曲集みたいなCDだったと思う。
そのなかでひときわ輝きを放つ曲があった。

フランスのポール・ドゥ・センヌヴィル作曲『渚のアデリーヌ』。
ピアニスト、リチャード・クレイダーマンのデビュー曲だそうだ。

大人になるまでクラシック曲だと勘違いしていたが、リリースは1976年。まだ生み出されてから50年も経っていない。

この曲が弾きたくて、練習したが挫折した。ショパンの『夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2』とこの曲が大好きで、でもどちらも弾けるようにならないまま、高校に上がる前にピアノをやめてしまった。今でもずっと好きな曲。

眠る前にこの曲がかかるとうっとりとした心地のまま、眠りの世界へと誘われていく。

途中までこの曲について書きながら、いや、私の表現力ではこのよさが伝わらない…と筆力の限界を感じたので、こちらに曲を貼っておこうと思う。

原曲は割と速弾きなのだが、個人的に少しゆっくりめなこちらの演奏が好きなため、こちらを共有させていただく。
リチャード・クレイダーマン公式アカウントに本人が演奏する映像もあったので、あわせて共有させていただく。

ずっとアデリーヌってどういう意味なんだろうと思っており、この機会に調べてみたら、作曲家の娘の名前のようだとわかった。そして、その曲が作られた頃に、アデリーヌが生まれたばかりだということも。
私は見知らぬアデリーヌの誕生を祝福したくなった。そして、その誕生を喜ぶ作曲家であり父親である彼の心情を想像する。
そうか、だから、子どもの耳にも心地よく聞こえたのかと思った。愛娘アデリーヌのためのバラードとして作られたこの曲に込められた慈愛が、幼い私にも伝わってきたのだ。


今日は法事で親戚が集まり、帰りに家族4人で父の運転する車のなかでいろいろしゃべり、夜ごはんまでともに食べて別れた。
亡くなった祖父母に思いを馳せ、両親と過ごした後だからか、ノスタルジーな気分になっていたときに、noteの「思い出の曲」というタグを見つけた。ぱっとこの曲が頭に流れだしたので、この曲を久しぶりに聴いて懐かしくなった。


思い出の曲は他にもたくさんある。それこそ、家族で車で出かけるときにかかっていた、両親世代の懐メロもそう。今でもカラオケに行くと、耳馴染んだ懐メロを歌う。
まだ推しがいなかった頃は、ドラマやアニメの主題歌と懐メロばかり歌っていた。

他にも最近思い出した曲がある。この曲だ。

きっかけは、何気なくYouTubeを見ていたらこのサムネイルが目に留まり、気になるタイトルに惹かれて観てみて納得。
デパートのトキハ、ショッピングモールのトキハわさだタウン、およびスーパーマーケットのトキハインダストリー、アテオで夕方に流れる『ペルシャの市場にて』だ。作曲はイギリスのアルバート・ケテルビー。
このエレクトーン奏者のりっちゃんさん、とっても楽しそうに弾くのだ。それがまた魅力的で、引き込まれてしまう。

そして、この曲がつい最近ある素敵な作品に登場し、うれしくなってコメントに書き込ませていただいた。
月山六太さんのこちらの作品だ。

大好きなnoterさんの1人、六太さんの『魔女の誕生日 ~紙のみぞ知る~』。
とても素敵なので、まずは読んでいただきたい。

この作品に『ペルシャの市場にて』が登場する。ちょうど読む少し前にりっちゃんさんの演奏を聴いていたから、鮮明に覚えており頭のなかで再生されながら作品を読み返した。
とてもこの曲が似合う、六太さんらしい作品。
大分に住んでいた頃よく行っていたお店で流れるのを聞いていた人間からすると、もはや『大分のトキハにて』なのだが←、改めてタイトルをふまえると、ペルシャの市場のにぎわいを彷彿とさせる曲だ。
スーパーやショッピングモール、デパートでにぎわうなか、生活でのさまざまな思いと夕方の気分とが相まって、いろんな感情を持ちながら聞いていた曲である。曲の七変化と気持ちの移ろいとが妙に合って、心地よくなる。


全然違う曲なのに、『渚のアデリーヌ』も『ペルシャの市場にて』も、耳に馴染んでおり、冒頭のメロディを聞くだけで当時の記憶が鮮明に思い起こされ、そのときの光景が目に浮かぶ。
真っ暗な寝室と明るくにぎやかなお店という対照的な場所でそれぞれ聞いていた。
ワクワクする冒頭と、キラキラ輝くメロディ、強かで劇的なメロディ、メロディアスなメロディを併せ持つのも共通している。

この2曲を同時に語る日が来るなんて、なんだかとっても不思議な気分だ。
これも、今だからだろうか。
今ベッドのうえで妹の立てる寝息を聞いているから、寝室のイメージも湧きやすくなっていたのだろう。ちょうどトキハの話を先ほど親戚との会食のときにしていたから、トキハのメロディが思い起こされたのかもしれない。
視覚情報や匂い、味は思い出を引っ張る強さを持っているが、音楽もまた、思い出を豊かに彩り思いを広げてくれるものだなぁと実感する、秋の夜。


#思い出の曲

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