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イトバナシでチョコバナシする話①

チョコバナシすると決めてから、し始めるまで

2022年3月31日、病院で作業療法士(サギョウリョウホウシ)として働く日々に区切りをつけた。私が病院でしていたのは、怪我をしたり病気になった患者さんが、「その人らしい瞬間」を再構築していく日々に伴走するリハビリテーションの仕事だ。仕事としては一旦区切りをつけたが、私は作業療法の考え方が大好きなので、頭の片隅にはいつも作業療法がある。

そして4月1日、インドや日本の職人さんとオリジナルのししゅう生地から衣服をつくるエシカルファッションブランド”itobanashi”に入社した。今は2022年2月から始まったカカオ豆からチョコレートを作る”chocobanashi”の店舗運営やチョコレート製造業務に励んでいる。

転職から半年が経ち、ふと去年の今ごろのことを思い出した。せっかくなので、写真と共にチョコバナシな日々が始まるまでを振り返ってみることにした。

4月に撮った、入社しました感のある写真

2021年11月・12月

そもそも「なぜイトバナシでチョコバナシすることになったのか」はバイブスとタイミングと勢いと星座占い的によさそうだったからというところで留めておくとして。

「とにかく、病院の作業療法士を辞めて、五條でチョコレートを作ります。」

事実だけをこのように伝えると、なんとも相手をびっくりさせる言葉だ。
段々、言いたいことだけを正面から伝えると相手が驚きすぎることがわかってきたので、なるべく驚かせすぎないように、素直な思いを色んな言葉に包んで伝えていった。

家族や当時の職場の先輩方、友人たちに決意したことを伝える度に「本当にそれでいいのか」と自分に問いかけて「これがいいのだ」と決意を上書きしていった。上書き保存が進むたび、兜の尾が徐々に締まる感じがした。
(本当に当時そう思った。これはマイロックスターchaboさんの影響に違いない。いつかの年末のライブで聞いた気がする。)

この時期の夕日はだいぶ心を揺さぶった

2022年1月

年が明ける頃にはポケットにはなぜかカカオ豆が入っていて、袖にチョコレートがついていた。器用でない私は、すぐにチョコにまみれてしまうので黒い服装が増えた。オフの日は無性に白い衣服が着たくなる。今もそうかも。

病院は年度末に退職することにしていたので、3月末まではまず病院でのお仕事を全うし、今までしてきたことを畳む準備をしていた。それ以外の隙間という隙間にチョコレートが広がった。

新年のイトバナシの伊達さんと杉川さん
旧餅商一ツ橋に貼られたチョコを匂わす貼り紙
カカオ豆を焼いたり、砕いたり、すり潰したりして、チョコレートを作っている

2022年2月

いよいよ”chocobanashi”の一ツ橋チョコスタンド店がオープン。大正時代から続いた餅商一ツ橋の跡地にて「おやつ文化を引き継ぐ」思いのもと、五條にゆかりのある若者たちの歩みが始まった。私はというと、引き続き病院でのお仕事に励みながら、chocobanashiの近くにいた。

五條新町通りのランドマーク的存在だったこの場所
で、チョコレートを作って売っている
タイルを使った型を使っているので”タイルチョコ”


2022年3月

迫る退職と入職。「終わるから始まるんやな」とか言いながら、卒業シーズンに感じたことのあるあの胸のざわめきに出会う。chocobanashiはおかげさまで春を迎えていた。

そしていよいよ最後の日。ありがたいことに、定年退職を思い起こさせる(したことはないけど)送り出しをしてもらい、私の作業療法士な日々は一旦幕を閉じた。

2022年4月

腫れた目と枯れかけた喉で迎えた入社初日。冬からchocobanashiの近くにいたので帽子とエプロンはすんなりユニフォームとしてなじんでいた。そこから気付けば11月になっていたのだが、この半年も振り返って、イトバナシでチョコバナシする話②に書けたらいいなと思う。

今日も明日もチョコまみれ。