汪元量 「通州道中」
一片秋雲妬太虚 あきばれねたむ
ひとひらのくも
窮荒漠漠走羣狐 きつねのむれが
あれのをはしる
西瓜黄處藤如織 すいかのつるは
おりいとのよう
北棗紅時樹若屠 いろづくなつめ
ちでそめたよう
雪塞搗砧人戍遠 きぬたうつおと
とりでをこえて
霜營吹角客愁孤 つのぶえのねも
さびしさあおる
幾回兀坐穹盧下 いつまでひとり
テントにねるか
頼有葡萄酒熟初 ぶどうのさけが
せめてのすくい
「通州道中」
*北方遊牧民族がじわじわと勢力を拡大していた時期のこと。前半の壮観な風景は北方ならではのスケール感がある。「通州」は今の北京市東郊。「穹盧」はパオ(北方遊牧民族の天幕)のこと。