文同 「月歩」
掩巻下中庭 ほんをかたづけ
なかにわにでる
月色浩如水 つきのあかりは
みずのひろがり
秋気涼満襟 あきのけはいが
むねにしみこみ
松陰密鋪地 まつのはかげが
みつにちりしく
百蟲催夜去 むしはそろって
よるをうながし
一雁領寒起 かりはひとりで
さむぞらにとぶ
静念忘世粉 こころしずかに
うきよをわすれ
誰同此佳味 わかちあいたい
このおもむきを
「月に歩す」
*「月色」「秋気」「松陰」「百蟲」「一雁」と徐々にムードを盛り上げてゆく。冒頭の第一句もいい。十八歳年上の蘇軾の従兄弟で、蘇軾の私淑するところであった。書画にも長け、号は笑笑先生。
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