華岳 「驟雨」
牛尾烏雲潑濃墨 うしのおっぽに
すみいろのくも
牛頭風雨翻車軸 うしのあたまに
ふといあまつぶ
怒濤頃刻巻沙灘 またたくうちに
さかまくどとう
十万軍聲吼鳴瀑 たいぐんのこえ
ひびかせるたき
牧童家住溪西曲 うしかいのこは
たにのにしから
侵早騎牛牧溪北 むれをひきつれ
このたにわたる
慌忙冒雨急渡溪 あわてふためき
いそいでゆくも
雨勢驟晴山又緑 すぐあめはやみ
みどりにもどる
「驟雨」
*「驟雨」のスピーディーでお騒がせなところがよく描写されていて、面白い。十万の軍声というのも大仰で威勢がいい。「車軸」は車の心棒のことだが、太いところから、大きい雨粒のたとえに用いられる。
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