范成大 「臘月村田樂府十首 其九 賣癡獃詞」
除夕更闌人不睡 みそかのよるは
だれもがねずに
厭禳鈍滞迎新歲 やくをはらって
としをむかえる
小兒呼叫走長街 こらはよばわり
まちかけまわり
云有癡獃召人買 ばかとあほうの
かいてをさがす
二物於人誰獨無 ばかやあほうは
だれにもあれど
就中吳儂仍有餘 ここらはとくに
ありあまるほど
巷南巷北賣不得 きたもみなみも
かいてはおらず
相逢大笑相揶揄 みちでかちあい
たかわらいする
櫟翁塊坐重簾下 わたしはへやで
それをききつけ
獨要買添令問價 かおうといって
そのねをきいた
兒云翁買不須錢 こらはじいさん
おかねはいいよ
奉賒癡獃千百年 つけでひゃくねん
せんねんという
「臘月村田樂府十首 其の九 癡獃を売る詞」
*「癡獃」は馬鹿と阿呆。なんとも奇天烈な風習である。もう少し話を膨らませば楽しい落語になりそうだ。「櫟翁」はクヌギの木のように役立たずの老人。作者自身を指す。
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