![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33526400/rectangle_large_type_2_56b091ad264522170db516e3e4a80804.jpg?width=1200)
梅尭臣 「夜聴隣家唱」
夜中未成寐 いまだねむりに
つけずにいると
鄰歌聞所稀 となりのいえで
うたごえがする
想像朱唇動 あかきくちびる
のうりにうかび
髣髴梁塵飛 そのうでまえは
ちりもとぶほど
誤節応偸笑 ふしをはずして
わらっているな
窃聴起披衣 みみをすまして
うわぎをはおる
披衣曲已終 ところがここで
うたはおしまい
窗月存余暉 まどのそとには
もうつきあかり
「夜隣家の唱うを聴く」
*妄想を掻き立たせるような詩だ。隣人の歌声を聞いて「朱唇」を頭に浮かべるところが、いかにも詩人らしい。「誤節応偸笑」の一節には驚かされる。意外な展開で、グッと臨場感の増す印象的な一節だ。