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梅尭臣 「夜聴隣家唱」

夜中未成寐  いまだねむりに

       つけずにいると

鄰歌聞所稀  となりのいえで

       うたごえがする

想像朱唇動
  あかきくちびる

       のうりにうかび

髣髴梁塵飛  そのうでまえは

       ちりもとぶほど

誤節応偸笑
  ふしをはずして

       わらっているな

窃聴起披衣  みみをすまして

       うわぎをはおる

披衣曲已終
  ところがここで

       うたはおしまい

窗月存余暉  まどのそとには

       もうつきあかり


「夜隣家の唱うを聴く」

*妄想を掻き立たせるような詩だ。隣人の歌声を聞いて「朱唇」を頭に浮かべるところが、いかにも詩人らしい。「誤節応偸笑」の一節には驚かされる。意外な展開で、グッと臨場感の増す印象的な一節だ。

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