梅尭臣 「祭猫」
自有五白猫 わがやにシロが
やってきてから
鼠不侵我書 ねずみはほんを
かじらなくなる
今朝五白死 けさそのシロが
しんでしまって
祭与飯与魚 めしとさかなを
そなえてまつる
送之于中河 かわのなかほど
ふかくしずめて
呪爾非爾疎 いのりをささげ
とむらいをする
昔汝噛一鼠 むかしおまえは
ねずみをとって
銜鳴遶庭除 くわえたままで
にわをまわった
欲使衆鼠驚 ほかのねずみに
おどしをかけて
意将清我盧 おいはらおうと
してくれたのだ
一徒登舟来 わたしがたびに
でているときも
舟中同屋居 おともについて
ふねでくらした
糗糧雖甚薄 たびでのめしは
おそまつながら
免食漏窃余 ねずみにそれを
とられずすんだ
是実爾有勤 このはたらきは
たいしたものだ
有勤勝鶏猪 にわとりだとか
ぶたなどよりも
世人重駆駕 それでもひとは
ものをはこべる
謂不如馬驢 うまやろばには
かなわぬという
已矣莫復論 こんなはなしは
もうやめようか
為爾聊欷歔 おまえのために
いまはなきたい
「猫を祭る」
*宋の時代に、これほどに猫を可愛がっていた詩人がいた、ということに得も言われぬ感慨をおぼえる。猫の名は「五白」だが、ここでは「シロ」と訳してみた。
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