古詩十九首　其十四

去者日以疎　　さりゆくものに

　　　　　　　こころははなれ


来者日已親　　うまれしものに

　　　　　　　したしみがわく

出郭門直視　　もんをでるなり

　　　　　　　まえをみやれば

但見丘與墳　　めにはいるのは

　　　　　　　さまざまなはか

古墓犁為田　　ふるいおはかは

　　　　　　　はたけにされて

松柏摧為薪　　まつやかしわも

　　　　　　　たきぎにされる

白楊多悲風　　かぜはポプラに

　　　　　　　ものかなしげに

蕭蕭愁殺人　　ひうひうとなり

　　　　　　　うれいをさそう

思還故里閭　　さとなつかしむ

　　　　　　　こころはあれど

欲歸道無因　　かえりたくても

　　　　　　　そのみちはなし

「古詩十九首　其の十四」

＊五言詩の始祖のひとつとされる。去者日以疎（去る者は日々に疎し）という句は徒然草にも引用されているらしい。「蕭蕭」と吹く風が身に沁みる。