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大学教員は資源である- MBA生の研究tips(9)

MBA生は大抵自分の職場に上司がいるので、ビジネススクールでも、特にゼミなどでは、ついつい教員を上司のように扱ってしまう人がいます。例えば、教員に論文を見せて、教員が何も言わなければ、その部分はクリアしたと考える。教員の言った通りに直したつもりなのに、またダメをだされると判断を翻されたように感じる。・・といった感じです。

当たり前ですが、教員は上司ではありません。そもそも研究に正解はないので、教員は、学生が書きかけの論文を持ってこられたとき、その時点でできるだけのアドバイスはしますが、正解に丸を付けるようなことはできません。また、研究は統合性が大事なので、研究の過程では全体がよく見えなくてよいアドバイスができないこともあります。研究活動は、学生も先生も試行錯誤の連続なのです。

学生は教員のアドバイスはできるだけ真摯に受け止めたほうがよいですが、命令だと捉えないほうがよいです。大事なのは、先生がなぜそう言ったかをよく考えることです。教員にダメ出しをされても、学生がよく考えた上で、「先生、これはやっぱりこうだと思う。その根拠は・・」と説明できるならば、それでよいのです。その後、さらに先生が反論して、議論が続くかもしれませんが、それが研究というものです。

さらに、大学教員は、標準化されたサービスを提供する店員さんでもありません。授業はまだしも、ゼミで研究するとなると学生一人一人の得意なことも、関心領域もばらばらなので、標準化なんてほとんどできません。研究は、教員と学生との相互作用で生み出されるものなのです。

大学教員は、上司でもなく、店員でもなく、資源だと考えてください。大学教員は、自分の研究に何十年も集中している人達ですから、(一般社会人よりも偏屈な人は多いですが)結構レアな資源の塊です。知識は言うまでもなく、ビジネスパーソンとは異なった人脈や、研究する上での発想を身につけています。これをうまく引き出し、利用しない手はありません。

教員も人間ですから、教員のアドバイスを真摯に受け止め、それでいて自分の考えをしっかり持ち、試行錯誤をいとわない人、知的好奇心に溢れた人には、自分の持つ資源を提供しやすいです。モチベーションも上がります。教員と創造的な相互作用を持てるような態度で臨むことは、大学という世界的な知のネットワークのハブをうまく使いこなすコツなのです。


MBA生の研究活動のtipsを書いています。
書くこと

読むこと

理論との付き合い方

先行研究探し

そもそもなんでMBAに入るの?



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