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子どもが苦手な私が親になった。【てんやわんやの母子同室編】

出産後一夜明け、母子同室が始まりました。

母子同室…

なんてことない響きですが、私にとっては未知の生物である赤ちゃんとの同居がスタート。

どんな攻撃をしかけられ、
相手がどんな戦術をもっているのかも分からぬまま、
抜け殻状態のノーガードな私は迎え撃ちます。

ベイビーは小さな動くベッドで登場。

助産師さんから色々と説明を受けます。

え…
やる事半端じゃなく多…

3時間おきにミルクとオムツ替えとかやば…

え…
どゆこと?

と脳内はグルグルですが、
平静を装い、ふんふん頷く私。

まるで知っているかのような顔をしています。

頭の中では鼻水垂らしている私ですが、
外面はやる気満々のお母さん気取りです。

息子が寝ているベッドは、
赤ちゃんの心拍が何秒か確認出来ないとアラームが作動するというベッドらしく、赤ちゃんをベッドから抱っこする時は電源を切るように指示を受けます。
(その後、この電源を、お前病気かというほど切り忘れる私)

読んでくださっている方は呆れるかもしれませんが、
出産への恐怖が強かった私は、
出産後にどうなるかという情報を全く収集しておらず、
自分の妊娠中は、出産経験者に

出産てどんくらい痛いんですか?
どんな感じで産みました?

とアホの一つ覚えのような質問だけを繰り返し、
痛みや出産中に起こりうるであろう様々な出来事だけをイメトレして生きておりました。

違うんです…

あの頃の私よ…

聞くべきは出産のことでは無く、

出産後の事だーーーー!!!!

(ドロップキック)

出産なんて、ほんと人それぞれで、
痛みだってイメトレできるわけもなく、
産む時に初めてわかるのよ。
始まったら自分の意思ではどうにも出来ないのよ。
プロ(先生や助産師さん)に任せるしかないのよ。

出産後は、全部あんたがメインでやらなきゃあかんのよ。
しかも、出産後って身体めっちゃ痛いのよ。

それ、分かってた?

立つのも座るのも
イテテテテテテテテテテテ!!!なのよ。

痔になった人しか使わないと思ってた丸いドーナツみたいなクッションの上にしか座れないのよ。

狂言師もびっくりのソロリソロリなのよ。

トイレも憩いの場でなくて、
ただの恐怖ボックスと化すのよ。

それ分かってた?


…分かってないからあんな事になるんでしょうがーーー!!!


妊娠中有り余ってた時間を、パンケーキとか食う事に使わないで、
「出産後 やる事」とか
「出産後 心構え」とか
「出産後 タイムスケジュール」とか
調べておけよ!!!
(パンケーキ食べることも大切です)

ほんとに私は出産の後を舐めてました。

チュッパチャップスよりも舐めてました。


メインは出産で、
出産後なんて付け合わせ程度に思ってました。

でも違いました。

ほんとここにお詫びと訂正をさせてください。


助産師さんから色々と説明を受けて、

「じゃあ早速、オムツ替えてミルクあげてみましょうか。」
(エンジェルスマイル)

「…は…はい……」

実践の場になった途端、

少しずつ玉ねぎの皮のように、私の外面が剥がされていきます。


赤ちゃんを抱っこするという、
スタートラインの手前の手前の手前の事でさえ
脳内テンパリストの私だったので、

オムツガエ…?

ミルク…??

ナニソレ…???

ナニヲドウシタラドウナルノ…????

と、なりました。

そんな、スタートラインの手前の手前の手前で準備体操も終えていないような私にも、

オリンピック選手のような助産師さんは優しく接してくれ、
本当に本当に凄い方々だと思わされました。
本当に凄い仕事ですし、尊い仕事です。

抱っこの仕方から
オムツの替え方から
おっぱいの飲ませ方から
ミルクの作り方から
ミルクのあげ方から
ゲップのさせ方から…

恐る恐るの私を、励まし、褒めて、
アドバイスをくれ、
手取り足取り教えてくれた助産師さん。

ここまで人の話をちゃんと聞き、
ここまで言われた通りに必死にやろうと頑張ったのは人生で初めてでした。
(人生なめてんのか)

これら一通りを全てやるのにかかった時間、
正味

1時間弱!!!
(プライスレスでもなんでもない)

これをこれから3時間刻みでやるとか苦行でしょ…
どゆこと…?

しかし、私がやらなきゃ誰がやる…

ということで、私の母性スイッチが
30年の封印を経て
ようやく
ギギギギギ…
と軋んだ音を立てながらONへと切り替わろうとしておりました。

封印を解いたのは、
紛れもなく私のお腹から出てきた息子です。

母子同室は4日程続きましたが、
恐らく人生で1番必死だったのが、あの4日間だったと思います。

iPhoneのアラーム機能を3時間にセットし、寝ようとするも、


なんか静かだな…息してる?
息子のベッドがなんらかのアクシデントで故障していて、心拍が停止してたらどうしよう?
と、心配になり呼吸しているか確認。

…ほっ。息してる。

寝ようとする。

ほんとに大丈夫かな?

確認。

ちゃんと寝てるなぁ。

オムツぬれてないよね?

確認。

今度こそ寝なきゃ。

最初に戻る

みたいな不毛な時間を過ごしたり、

息子の寝顔を見て、
突如昔飼っていたペットの世話をちゃんとできなかった事や、
貰った花を枯らしてしまった事などを思い出し、

私は本当にこの子を育てられるのだろうか…
世話とか全然出来ないのに大丈夫なのかな…

と、不安に押し潰されそうになったり

神様、この子を無事にこの世へ送り出してくれて本当にありがとうございます…

と、胸が張り裂けそうになったり

あまり感情が揺れ動かない私が、
感情の起伏のビッグウェーブに飲み込まれ、
涙を流しまくったりしていました。

これが俗に言うマタニティブルーです。

しかし、渦中にいる間は分からず、事前にうっすら聞いていたものの、内心

大丈夫!私そんなキャラじゃないから!

と、全然相手にしておりませんでした。


「へぇーーそうなんですかぁー」


と、さも興味があるような相槌をしてましたが、
全然流しながら聞いておりました。



キャラとかじゃなくて、人間の本能だから!

お前、先輩方の話はちゃんと聞け!!



と、今なら昔の自分の胸ぐらを掴んで正座させ、
諸先輩方の有難い出産にまつわるアレコレを録音し、
何度でも聞いて暗唱出来るほどにさせますが、
本当に申し訳ない事に当時は分かっておらず。

旦那は仕事後に毎日面会に来てくれて、
他の人といる時は泣かない私も、
旦那に会う時だけは涙を流せました。

私という人間を分かってくれていると思っていたので、
色々な変化に追いつこうと、かなり必死だという事も隠さずに見せれたのかなと思います。

この人と家族になったんだなぁ、と改めて実感したのもこの瞬間でした。
(ええ話や)
(旦那読んだら泣くんじゃないの?)


その他にも
母乳を出すための母乳マッサージがめちゃくちゃ痛くて、

あんなに優しい天使のような助産師さん達が、
揃いも揃って親の仇をとるかのように私の胸をつねったり、
(つねられていると思っているだけでれっきとしたマッサージです)

赤ちゃんを抱っこした事が無い私にとって、
片手で赤ちゃんの首を支えながら片手で全身を洗うという、沐浴のハードルの高さがエベレスト級だったりと、

とにかくてんやわんやの母子同室でした。

最初の頃の赤ちゃんのウンチが黒くてドロドロだなんて知らず、

ヒィィィィ! 
息子が変なウンチしてる!
死んじゃうかも!!

とビビったり、
(その後ミルクを飲んで色や形状が変わり、またビビる)

突然のしゃっくりや
突然の吐き戻しに

ヒィィィィ!
息子がぁ!
息子が死んじゃうーーー!!

と、慌てて助産師さんを呼んだり
(ほんと迷惑な女)

とにかく必死の日々。

母乳を飲ませる前と飲ませた後に息子の体重を計ったら

2グラム減っている…!

え?!母乳出てないどころか、飲むのに体力使って体重落ちたってこと…?!

と、絶望したり

息子の寝顔を見て

「はぁぁ…可愛い。
あれ?私もしや母性芽生えてる?」

と、人間の本能の凄さに驚いたり

息子のミルクをがぶ飲みする姿に

幸せを感じたり…

一喜一憂も沢山しました。

そして気付けば、
息子溺愛の親バカ新米母ちゃんが日本の片隅にひっそりと誕生しておりました。

退院はとにかく不安で、
一生病院で助産師さんになんでも聞きながら育てたいと思うほどでした。
(末っ子気質炸裂)
(まじで自己中迷惑女)

それよりも、
退院の時に体重を図ったら2キロ位しかおちてなくて、
息子の一部と私の胎盤と羊水はまだ体にのこっているのかな?
と、パラレルワールドに一瞬飲み込まれたのも良い思い出です。

この経験を経て、
2人目の出産と入院を乗り越えました。

経験が1番の学び。

育児を通してそう思います。


2人目の退院時も体重は2キロ減。

経験してましたが、この時ばかりはパラレルワールドにまたもや飲み込まれました。

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