ガイドに載ってない海岸 Inchにて
2009年3月11日~21日 アイルランド紀行22
3月18日 晴天
Killarney - Dingle Peninshura - Dublin①
再び、晴天!!すばらしい。ようやっと自分の中の晴れ女が目覚めたのか。
ケルトと妖精の説話が色濃く残るディングル半島へ、いざ出発だ。
美しいキラーニーに別れを告げて半時、ディングル半島に入るとしばらくは大西洋の入り江と道が並走する。
昨日より空がけぶっているのは春霞のせいだろうか、海の向こうにケリー半島がうっすらと見える。今日、ケリーを目指したら、スケリッグ・マイケルの遠景はかすんで見えなかったかもしれない。
道がいったん海沿いから離れて内陸部に入り込み、ケリー周遊路のむきだしの自然とは違って、まだ春浅い緑野に羊が草をはむ、のどかな風景が繰り広げられた。黄色いエニシダが春野に色を添え、どこまでも穏やかだ。
内陸に入ったかと思うと、ふたたび視界の開けた海岸に突然出た。
素晴らしく長~い長~い浜辺は果てしがない。
ディングル半島にひょいとくっついた花びらのような形の地が、遠浅の浜辺を造りだしている。浜辺の奥にも車が止めてあるので、どうやら砂浜を車で走行できるらしい。
ガイドに書かれていないこの海岸が、映画「ライアンの娘」のロケ地の一つだと知ったのは帰国してからだった。
これほどの景観ながら、海岸の入り口に小さいレストランとお土産屋が一件あるばかりで、とても静かな場所だ。通りの向こうに数件B&Bがあるので、夏は穴場の避暑地となるに違いない。
遠浅の波打ちに向かって歩いていくと、太陽の光が水で濡れた浜辺をキラキラと輝かす。細かい貝のかけらが色どりとなって、目を楽しませる。
数歩進むと光の具合が変わって、浜辺の色が違ってみえるので、それが楽しくて二、三歩歩いては止まり、しゃがんだり立ったりして、光とたわむれる。
果てしがない砂浜。こんな風景は日本ではそうそうお目にかかれない。
「美しいね。」
インチ海岸は、私たち夫婦の一番のお気に入り場所となった。
※この旅行記は以前に閉じたブログの記事に加筆して、2023年春にnoteに書き写してます。