どうすればよかったか?
人生でそう思ったことはたくさんあったけれど、この映画の観賞後ほど、真剣にこの問いかけと向き合ったことはないかもしれない。
映画『どうすればよかったか?』
と、ざっくりあらすじを読んだだけならば、「早く病院に連れて行ってあげたらいいのに」という短絡的な思考になるのだけれど、そう単純ではないことが映画を観るとわかる。
家庭という牢獄。親という呪縛。日常の脆弱性。正常性バイヤス。統合失調性への偏見……いろいろなことが読み取れる映画だが、私は「時間の不可逆性の残酷さ」に最もくらう。
日々、ぼんやり過ごしていると、「今、どうすればいいのか?」の選択の連続がえらく面倒で、とてもつらいことのように思えるけれど、「あの時、どうすればよかったか?」という不可逆性という重い十字架を一生背負うことに比べたら、その問いはとてもとても軽い。
一転、自分の当たり前(思い込み)による目の前の選択が、誰かの人生をとりかえしのつかないものにしてしまうのではないかという怖れははかりしれない。
姉が病室で最後に聴いていた音楽は、ビートルズの『While My Guitar Gently Weeps』。
「どうすればよかったか?」という問いから逃げられる人間なんているのだろうか?
<memo>