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どうすればよかったか?

人生でそう思ったことはたくさんあったけれど、この映画の観賞後ほど、真剣にこの問いかけと向き合ったことはないかもしれない。

映画『どうすればよかったか?』

医者で研究者の両親。同じくそれを目指す秀才の姉に現れた統合失調症の症状。両親はそれを病気と認めず、玄関に南京錠をかけ姉を閉じ込めた。弟の立場から撮影した約四半世紀の記録。

と、ざっくりあらすじを読んだだけならば、「早く病院に連れて行ってあげたらいいのに」という短絡的な思考になるのだけれど、そう単純ではないことが映画を観るとわかる。

家庭という牢獄。親という呪縛。日常の脆弱性。正常性バイヤス。統合失調性への偏見……いろいろなことが読み取れる映画だが、私は「時間の不可逆性の残酷さ」に最もくらう。

日々、ぼんやり過ごしていると、「今、どうすればいいのか?」の選択の連続がえらく面倒で、とてもつらいことのように思えるけれど、「あの時、どうすればよかったか?」という不可逆性という重い十字架を一生背負うことに比べたら、その問いはとてもとても軽い。

一転、自分の当たり前(思い込み)による目の前の選択が、誰かの人生をとりかえしのつかないものにしてしまうのではないかという怖れははかりしれない。

姉が病室で最後に聴いていた音楽は、ビートルズの『While My Guitar Gently Weeps』。

I don't know why nobody told you
きみはただ その愛を打ち明ければよかったはずなのに

How to unfold your love
それをだれも教えてやれなかった

I don't know how someone controlled you
ぼくにはわからない きみを辱めた連中は

They bought and sold you
いったいどうやってきみを支配したのだろう

https://ameblo.jp/kagegisu-the-writer/entry-12287408791.html


「どうすればよかったか?」という問いから逃げられる人間なんているのだろうか? 

姉はたくさん才能を持って生まれましたが、発症してからは、それを十分に発揮することなく、ほとんど独りで生きていました。

我が家の25年は統合失調症の対応の失敗例です。
どうすればよかったか?

このタイトルは私への問い、両親への問い、そして観客に考えてほしい問いです。

撮影も編集も拙いですが
見るに値するものが映っていると思います。

藤野知明(監督)

(HPより


<memo>


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