「一生このまま・・」③オミクロン発症
コロナ禍の二年間、ほとんど酒を飲まなかった花梨が、このゴールデンウィークははっちゃけていた。
自粛生活でどんどんストイックになっていたが、やはり遊びたい盛りの若者だ。遊び始めると糸を切ったタコみたいに飛んでった。
しかし、京都から終電で舞い戻ってくると、
「喉痛い、咳も止まんない」
と言う。
「いつから?」
「昨日から。京都でも一日中咳込んでた」
美優と楽しそうにインスタをあげていたから、まさかそんな状態とは思わなかった。
熱を測らせると37度1分だ。
「花粉症じゃない? 毎年この時期に出るやつ。京都で一日中出歩いてたから、久々に出ちゃったんじゃないの?」
花梨は花粉症で、毎年ゴールデンウィーク前後に微熱が出て、風邪のような症状になるのだ。しかしコロナ禍の二年間はマスクをしているのと外出しないので、花粉症も出ていなかった。
「明日朝一で唐沢さん行って、薬もらって来たら?」
「うん」
花梨は翌朝、近所の、行きつけの耳鼻咽喉科に行った。
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