バリ島でアーユルヴェーダ・パンチャカルマ7日目
私が滞在しているアーユルヴェーダセンターでは朝2つのヨガクラスが開講されている。穏やかなストレッチに近いクラスと、しっかりとポーズをとっていくハタヨガクラスだ。ギーを飲んでいる間は、穏やかヨガに参加することが推奨されていた。しかしビッグクレンジングも終わり、身体を回復させ活力を与える段階まで来たので、ハタヨガクラスに参加した。
数カ月ぶりの本気のヨガタイム。カラッとした先生で、吸って吐いてと言いながら、どんどん私の身体に触れてギギギっと姿勢を修正していく。クーラーもないスタジオで、汗だくになったし、途中でお腹が攣って痛かったけど、終わったあとは爽快だった。ジムで激しい筋トレをし心拍数をガンガン上げて、翌日筋肉痛になるまで追い込むのが健康に良いと思っていたけど、ヨガのようにジワーと身体に働きかける運動もとても素晴らしいと改めて実感。
ヨガの後ご飯を食べて、初めてのオイル浣腸に向かった。体内に薬液を留めるのが難しいと聞いていたけれど、もう全っ然問題なし!余裕過ぎて拍子抜けする。50mlの少量の油だったのだけど、何時間でもOKと思った。
午後は額にオイルを垂らすシロダーラとオイルバスの施術を受けた。オイルバスは木製のベッドに裸で寝て、ひたすらぬるい油をかけられる。とろとろのオイルの感触がとても気持ちよかった。油淋鶏になったような気持ち。
今回の滞在では、身体のデトックスだけではなくメンタルケアも取り入れるようとコーチングも受けた。ドイツ人のどっしりとした先生で、一見すると怖い。なんというか圧がすごい。しかし初回のセッションを終えた段階で様々な学びがあった。気持ちや考えをシェアすると、様々な角度から質問が飛んで来る。その応答の過程で、自分の中にもともとあった回答が少しずつ浮かび上がってくる感覚。
このセッションで初めて気づいたことが固定観念やバイアスの強力さ。例えば私の実家は母が家事をすべてして、仕事もして、子育てもする典型的な日本のがんばる疲れているイライラしているお母さんだった。家のことは女がするものという価値観が受け入れられないから、家を出てそうじゃない価値観を持つ人と一緒になって、今は家事を外注していたりする。
しかし、日本古来の価値観から逃げて自由になり生きていたつもりだったのに、モヤモヤした罪悪感を常に抱えていたり、自分の決断に迷いがあるのは、その固定観念にまだ自分が縛られていたからだと気付かされた。その事実に私は気づいていなかった。物理的にも海外に住み離れたつもりでも、マインドセットを変えたつもりでも、まだ奥深く深く残っていたのだ。
あちゃー。いたのか、あなた。
とさよならしたはずの固定観念さんに再び会った。ちょっといや、かなり気まずい再会だ。
しかしコーチは言った「気づくことがすべての始まり」と。これまで自分の決断に迷いをあたえていたものや、自信を奪っていたものの正体を知るだけで、ここから成長が始まるのだそう。私は社会的なジェンダーや年齢の縛りや、国籍や住む場所に縛られまい縛られていないと思っていたけど、まだ幼い頃時間をかけて植え付けられた観念とともに生きている。だけどこのセッションの後、自分に問うことが可能になった。今自信がなくて始められないのは、自分が嫌だと思っていた固定観念のせいでは? と。
もちろん問うだけで、私が持ってしまう迷いや自信のなさが消えるわけではない。だけど姿を見たことで、沼の中に足場を得たような気持ちだ。今はこの段階。今後自分との対話を続けていくことで、きっと自分を縛り包むものとの付き合い方もみえてくるのではと思う。希望的観測。
身体からも毒を出し、メンタル面でもときに鋭くて避けたい質問にも答える日々。本当にこの期間つくづく思ったのが「生きる」って本当にやさしいことではない。身も心も健康になる8つのコツみたいな情報に飛びついてきたけど、そんなイージーなものではないのだ。ひとりひとり違う、心も身体も。だからこそ人の力を借りながらも、観察と対話を続けるしかないのだ。時間も労力もかかる。でも今までのどんな瞬間よりも自分の命を感じられる。
読んでくださって本当に嬉しいです! いただいたサポートにいつも励まされています。