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花と暮らす効能
日本よりも手頃に花が買えるので、ベトナムで暮らし始めてから家に花を欠かすことがなくなった。近所の花市場に行き、隙あらば高値で売りつけてくる花屋のおばちゃんとがーがー交渉しながら花を選び買う。
ときどきあれもこれも欲しくなって、家にある花瓶では足りない量の花を買ってしまう。仕方がない、家にあるグラスに花をどんどん活けていく。そしてこの1週間ワイングラスで水を飲むことにする、色とりどりの花に囲まれながら。不便だけど、くすくすとこの不自由さを愛おしむ。
最近花市場だけではなく、Instagramで偶然知り合ったベトナム人男性から花を買うようになった。彼が何者かは知らないけれど、ロックダウン中に飲食店が生花を買わなくなってしまい、廃棄予定の花がたくさんあるので格安で売りますという投稿を見つけたのだ。
格安で買える分、なんの手入れもされていない野生味を感じる状態の花が届く。ぼさぼさに葉がついて、触るととびあがるほど尖った棘がついているバラたち。
私はずっと花市場できれいに処理されたバラに慣れすぎていて、このバラ出荷された状態のバラたちを久しく見ていなかった。花瓶の身長に合わせて茎を切り、それから葉を落とし、棘を取っていく。30本のバラの花を処理するだけでも小1時間かかってしまう。
でも、この時間がなんとも豊かで愛おしいなと思う。
自分の身を守り、「種」を次の世代に伝えるのだ! 花の強い意志が感じられる。またそれに向き合い、棘をひとつひとつ取り除く作業はまるで自分の心を癒やしていくよう。
慣れないなりに一生懸命処理をする、それを花瓶に飾ると花屋で買った花よりも美しく見える。
尽くしても尽くしても、花はやがて枯れる。
あなたがいて本当に良かったと心の中で手を合わせて、そっとさよならする。
花はいい。短いサイクルの中でたくさんのことを私に教えてくれる。ただ美しいだけ、の存在では決してないのだ。
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