この30分が、23時間30分の思い出しニヤニヤを作るのだ
あらこの人素敵だなぁと思える人に出会うと、この素敵な人を作り上げている「暮らし」はいったいどんな様子なんだろうと思う。
昔なら、本屋に行ってその素敵人さんが書いたエッセイを読んだりしていたのだけれど。今はもっとかんたんで、Instagramで検索すれば写真つきでリアルタイムな素敵人さんの「暮らし」を知ることができる。
少し古めの住宅をDIYでリノベーション。その明るい部屋にはくねくねの名前も知らないような観葉植物がいる。ランチのあとには、こだわりのコーヒー豆を買い、自分で挽いて淹れて飲んでいる。晩ごはんをきちんと小鉢に盛って、品数も3つ以上。毎晩ゆっくりと入浴し、オーガニックコスメブランドのオイルで全身をツルツルにマッサージ。シルクのピスタチオ色のパジャマを着て、ベッドの上でヨガをする。最後のシャバアサナでいつの間にか寝落ちしちゃった。早起きした朝は、植物に水をやり…つづく
ああ。素敵だな〜。Instagram上の素敵人さんの「暮らし」にはいちぶの隙もない。羨ましくて天井を見上げるんだけど、羨ましいと思うのは私には到底できっこないからであって、呼吸をするかのように自然に素敵な暮らしができる人間では100%ないやんと自分を慰める。カップラーメンにお湯を入れて、Youtubeを見始めたら止まらなくなって、気づいたら乾麺がお湯をすべて吸い込んでしまい、冷めた汁なし麺を食べるのが私ってやつじゃないか。
だけど、私とはずぼらでだらしないと理解しているものの、素敵人になりたいという欲求がなくなることはない。ステイホームを求められるご時世なんだもの、やっぱり暮らしを満足ゆくものにしたいじゃない。だから私は1000個ある素敵人がやっていそうな「暮らし」リストの中から毎日ひとつだけを選んで実行することにした。
今日選んだのは、お昼ごはんを作ること。
ハノイの路上市場で手に入れた、ぼこぼこ不揃いの夏野菜トマトと茄子を使ってパスタを作った。ソースなんて言えるレベルじゃない、味付けはたっぷりガーリックを入れて、ケチャップと塩コショウをテキトーに入れるだけ。おしゃれさはこれっぽっちもなかったけれど、昼ごはんを自分で作って食べて片付けまで一気にしたことに我ながら感動! (お腹も空いていたし、それにおいしかったのだ! ぺろりと食べて写真を撮り忘れちゃった)
いつもなら、レトルト食品を温める or 冷凍食品をチンするだけなのに、野菜を切り、麺を茹で、フライパンでそれらを混ぜ合わせた。食べたあとは、間髪おかずに皿洗いも終わらせる。
ふっ。私、素敵。日頃の「暮らし」レベルが低い分、たったひとつだけでも「暮らし」を向上させる行動がとれると、ホクホク寝るまで嬉しくなる。
自分の日常って悪くないな。なんて思える工夫を。
朝起きてから寝るまですべてを丁寧にすることはできないけれど、今から私は日常を愛でます! 素敵人として過ごします! と自己宣言して30分過ごすだけで、それ以外の23時間30分の満足度が5ミリ上がる。大事なのは自分に宣言すること。飽き性の私は、これを毎日やることを変えてひとつだけしている。
・深呼吸を10回する
・花を買う(これは1週間弱、素敵効果が続くのでおすすめ)
・旬のなにかを食べる
・お白湯を飲む
なんでもいい。ネットで見つけた素敵〜〜と思った人の暮らしの真似を少しだけ。自分にちゃんと私は私のために今〇〇を選んでやっているんだよ、と話しかけてみる。
自己満足が「暮らし」ていく中で一番大事。
暮らすはそのまま人生になるから。5ミリだけでも私のために向上させたい。