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人となりみたいなものは個体差だから、偏見を捨てよう

北京に住んでいたときは、私はまだ大学生でそこまで強烈に「人」をフィルターにかけてしまうことはなかったけれど、30歳前に台北に移住した時は違った。


語学学校に入学するときも、クラス分け前の面談で「私はとにかく英語ができるので(そんなほどではない)、英語で中国語を教えるクラスにしてほしい」と頼み込んだ。そして実際私は8人いるクラスの中で、たった1人の日本人として中国語を学んだ。

台北には中山駅近辺や天母など日本人が多く住むエリアがある。そこには駐在で来た人が家族連れで住んでおり、しっかりとした日本人社会を形成し互いに助け合って(干渉?)住んでいるようだった。

住んでいるようだった。


そう。私は台北に住んでいる時、同じ外国の地に住んでいる日本人と、ほぼ関わらずに生きていた。学校でできた友達も日本人はほぼいなかったし、休みの日は当時の台湾人彼氏とその家族と過ごしていた。

今思えばそれは、わかりやすいくらいに意図的に避けていたように思う。なんていうか海外で日本人と出会ってしまうと、なんていうか東京ですれ違うようなドライさがなくなり、途端にウェットな人間関係に変わるような気がしたからだ。同じ国籍という共通点だけで、なんだか無理にでも仲良くしなきゃいけないような気持ちになってくる。

きっとこれは私が勝手に思っている窮屈さで。勝手に仲良くならなきゃとか結束しなきゃと思ってしまう。

それに自分もそう、自分はむしろ1,000,000%そうなんだけれど、日本社会に適応できず海外に住んでいるなんて、絶対変な人なんていう、この世で一番低俗な偏見を持っていたので。変な自分と付き合うだけでも、ほとほと疲れているのに、これ以上変な友達を持っても困ると思っていた。

なので、台湾在住時代(4年弱かな?)の間に仲良くなれた日本の友だちは片手にも満たない。少なすぎる...しかもそのほとんどが、自ら交流して作ったわけではなく、誰かの知り合いという形で出会った人ばかりで。




そんな台湾生活を経て、今年の3月から新たにベトナム生活を始めた。

知人にハノイの片田舎の住居を提供してもらった。ハドンと言われるそのエリアで、私は完全たる外国人にとして生活をした。ベトナム語しか通じないド・ローカルでジェスチャーとグーグル翻訳の力で生き抜いた。日本人を避けるどころか、私以外の外国人を見かけることもほぼなかった。

日本語を日本人と対面で話すことがない生活を半年くらい続けた。その間何をしていたかと言うと、ひたすらnoteに文章を書いて、それから日本の映画やドラマを漁るように見ていた。人生で一番貪欲に日本語を求めていたと思う。


そんな生活を続けていたところ、東京の友人がハノイまで遊びに来た。彼はハノイ在住の僕の日本人友達とご飯を食べるから、そこにおいでよと私を誘った。

初対面のコミュニケーション許容範囲の3人(少なすぎる)を超えた5人位の食事会。迷ったよね。迷った。でも誘われた時点で私たちはアルコールを昼間からいい感じに摂っていて、なんかまぁノリでもなんでもいいから行ってみようと思ったのだ。


その食事会自体で、私の生活について色々聞かれて、それに答えていたように思う。というのも実はあんまり覚えていない。きっと海外に住んでいる日本人と会話をするだけで、緊張しちゃって脳みそもコチコチだったからね。食事会のあと、私の友人とその友人たちはクラブに行くと言っていたけれど、私はそれを丁重に断り帰宅した。



それから...3ヶ月くらい経って今。それからその場で出会った人たちと時々会っている。すごいよ。しかも一番苦手だと思っていた駐在員的な方たちと。

で、どんな変化が私にあったかと言うと、私自身には特段大きな変化はない。相変わらず偏屈だし人見知りだし。だけど、新しい日本人の友達と過ごす中で、やっぱり海外で生活をしている人はおおらかだなーとか思ったり。


いや。いや、たぶんこれも違うくて。

勝手に作っていた、壁がべろべろと静かに音も建てずに崩れていって。みんな優しいし面白いし、ビールをかけつけ3杯飲み干して酔っ払わなくても、コミュニケーションが取れるようになってきた思ったことが、

人となりみたいなものは個体差があるから、どこに住んでいようが何をしていようが、きっともうその人が持っているものってこと。だから属性(年齢や居住地や仕事や性別や and so on...)で仲良くしようとかしないとか、もうなんてアホらしいことだったんだ、と思った。

こうして文字に起こしてみると、明白当然としかいいようがないんだけど。



だからときどき、私が海外に住んでいて、なんていうかパソコン一つで仕事をこなし、自由に生活をしてすごいな〜と言ってくださる方に出会うのだけど。

ふふふ。実は私はどこにいても、だいたいね引きこもっているから、実は日本にいようがパリにいようがハノイの片田舎にいようが、同じなのだ。と説明する。

本当にそうなの。よく世界を旅して、そこで出会うスパークを編集して届けられる人がいるけれど、私はだいたい2週間がしっと根を張ってじゃないと動けない。軽やかに旅することが、どうやっても何年日本の外にいてもできないのだ。



気が合えば、どんな場所でもどんな人でも仲良くできる。なんて小学生でも知っていることを、また改めて教えてもらったベトナム生活でした。

さて、次はタイにしばらく滞在する予定。またきっと簡単単純だけど忘れちゃっていることを、誰かに教えてもらえるんだろう。そんな予感がしている。


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南洋子
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