コロナ感染と休業手当
おはようございます。弁護士の檜山洋子手す。
毎日の感染者数の発表がある度に、先週よりは少しは減ったのではないか、これでピークアウトか?と一喜一憂する毎日が続いています。
しかし、毎日1万人前後が新規に感染しているということで、身近な人の感染も増えてきました。
会社の従業員にも感染する人が出てきて、人の配置と業務遂行に頭を悩ましておられる経営者が増えてきているようです。
そこで、今日は、従業員がコロナウィルスに感染してしまった時の休業手当について確認しておきたいと思います。
休業手当
労働基準法上、使用者が休業している従業員に平均賃金の6割以上の手当てを支払わなければならないのは、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」とされています(26条)。
厚生労働省は、この「使用者の責に帰すべき事由」とは、
としています。
コロナウィルス感染は不可抗力か
もし、コロナウィルス感染が「不可抗力によるもの」であれば、使用者は休業手当を支払う義務がないことになります。
不可抗力と言えば、大地震や観測史上稀に見る大きな台風などの天災地変が分かりやすい例だと思いますが、従業員のコロナウィルス感染は不可抗力と言えるのでしょうか。
厚生労働省は、休業手当を支払う必要のない不可抗力とは、以下の2つの要件を満たすものであるとしています。
そして、感染した人を休ませる場合については、「新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には『使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当しない」ので、休業手当を支払う必要はないとしています。
つまり、自社の判断で休ませるのではなく、都道府県知事の取り決めによって休ませざるを得ない時には不可抗力によるものになる、ということです。
感染の疑いがあるだけのとき
このように、新型コロナウイルス陽性の判定が明確に出ている時に休ませることについては、休業手当を支払わなくていい方向に行きやすいのですが、検査の結果がまだ分からない状況において、発熱などの症状があることを理由に会社の判断で休ませるときは、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当します。
したがって、この時には休業手当を支給する必要があります。
使用者は、休業手当を支給するくらいなら仕事に出てきて欲しいと考えるかもしれません。特に、発熱もなく喉が痛いだけ、嗅覚異常があるだけのような時には、仕事を休ませるほどではないと考えるかもしれません。
しかし、感染の疑いのある人を出勤させることによって職場内で感染が広がると、結局は操業停止に追い込まれることになる危険性があります。
新型コロナウィルス感染症も事業リスクの1つと捉え、リスク管理体制をしっかりと見直しておく必要がありますね。
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