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従業員のプライベートへの過度の介入
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
感染が拡大してひやひやする中、昨日無事に月組の大劇場公演が千秋楽を終えました。
私は自宅からライブ配信で楽しんでいたのですが、その間にも、2月1日に初日を迎える予定だった他組の公演が1週間中止とする連絡が入ってきました。
東京大劇場では花組がほぼ1か月の公演中止、東京国際フォーラムで公演予定だった雪組は全日程中止、という中、月組もいつ中止になっても仕方ないという覚悟は決めていたものの、やはり全日程走り抜くことができるとそのありがたみはひとしおです。
宝塚ファンは、かなり熱心な方がたくさんいらっしゃるので、コロナで打撃を受けてもすぐに客足が戻ってきます。
そして、ファンの多くは、がんばって仕事をしてお金を貯め、会社の有給休暇を活用しまくって観劇に備えています。
仕事に出ていても、宝塚の人事に気を揉んで仕事が手につかないなんてこともあります・・・
もちろん、宝塚ファンだけでなくアイドルや趣味に全人生をかけている人はたくさんいます。そして、これらの私生活の楽しみは、会社には持ち込めない、あるいは持ち込みたくないことだと思っている人がほとんどでしょう。
そんな従業員のプライベートに、上司が過度に立ちいることについて、会社はどのように対処すればよいでしょうか。
あるいは、経営者自身、どこまで従業員のプライベートに踏み込んでいいのか悩んでしまうようなことはないでしょうか。
パワハラにならないように注意
従業員のプライベートに過度に立ちいることは、パワハラに該当する危険性があります。
厚生労働省は、パワハラを以下の6つの類型に分けて分かりやすく説明しています(「ハラスメントの類型と種類」)。
もちろん、この6つの類型にぴったり当てはまるものだけがパワハラに該当するわけではありません。しかし、具体的な行為がパワハラに該当するかどうかを考える時の指針として使えます。
① 身体的な攻撃(殴打・足蹴り・物の投げつけ等)
② 精神的な攻撃(人格否定、不必要な長時間の厳しい叱責の繰り返し等)
③ 人間関係からの切り離し(長時間別室に隔離、無視等)
④ 過大な要求(必要な教育をしないまま過大なノルマを課し、できないと叱責する等)
⑤ 過小な要求(能力や地位に見合わない簡単すぎる業務のみを与える、仕事を与えない等)
⑥ 個の侵害(継続的監視、私物の写真撮影、個人情報の暴露等)
プライベートへの過度の立入りは、この類型のうち⑥の「個の侵害」に該当する可能性があります。
バランスと思いやる気持ち
しかし、逆に、パワハラになるのではないかと気にするあまり、従業員の私生活のことにいっさい触れない、立ちいらない、ということをしていると、人間同士の血の通った交流ができなくなる可能性もあります。
やはりここでも、上司や経営者のコミュニケーション能力がものをいいます。
目の前の相手が今何を感じているかを敏感に感じ取る力、大切な従業員が普段何を大切に生活しているかを知って尊重しようとする気持ち、トラブルを抱えていることを察知して解決してあげられる能力・・・
こういう人間性を身に付けて従業員と接していれば、従業員と上司・経営者との間の関係は良くなり、従業員が“自分のプライベートに過度に介入された“と不快な気持ちになることはなくなるはずです。