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SDG8 働きがいも経済成長も

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 先日、大阪弁護士会のSDGs検討チームで、SDGsを楽しく学べるカードゲームをしました。

 普通、「ゲーム」といえば、いかにして自分1人だけが勝つかを考えて戦略を練るものですが、SDGsカードゲームは、いかにして全体最適を達成するかを目指すものでした。

 しかも、自分1人だけ勝ち抜けようと思っても、他の人の協力なくしてはできない仕組みになっています。

 ゲームの後半戦に突入するまでそのことに気付かず、1人の力でなんとかしようとしていました。

 SDGsは、開発途上国だけの力でなし得るものではなく、一方で先進国の力だけでなし得るものでもない、ということなんですね・・・

 今日のテーマである「働きがいも経済成長も」は、まさにそういうことで、経済の基盤がないところでは働きがいを見つけることができないし、働く手段がないと経済成長を底上げすることができないため、働き手の権利と経済成長の両方を同時に満たす必要があるのです。

ディーセント・ワーク

 SDG8の「働きがいも経済成長も」のゴールは、「包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」こととされています。

 このテーマでのキーワードとなるのが、「ディーセント・ワーク」です。

 ディーセント・ワーク(Decent Work)は、「働きがいのある人間らしい仕事」と訳されます。

 1999年に開催された第87回国際労働機関(ILO)の総会において、ファン・ソマビア事務局長が初めて使った言葉です。

 この事務局長報告では、「ディーセント・ワークとは、権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事。それはまた、全ての人が収入を得るのに十分な仕事があること」であるとされています。
 

 ディーセント・ワークの実現に向けた取組みは、以下の4つの戦略目標に基づくものとされています。

  1. 仕事の創出 - 必要な技能を身につけ、働いて生計が立てられるように、国や企業が仕事を作り出すことを支援

  2. 社会的保護の拡充 - 安全で健康的に働ける職場を確保し、生産性も向上するような環境の整備。社会保障の充実。

  3. 社会対話の推進 - 職場での問題や紛争を平和的に解決できるように、政・労・使の話し合いの促進。

  4. 仕事における権利の保障 - 不利な立場に置かれて働く人々をなくすため、労働者の権利の保障、尊重

 つまり、「働きがいのある人間らしい仕事」とは、「権利、社会保障、社会対話が確保されていて、自由と平等が保障され、働く人々の生活が安定する、すなわち、人間としての尊厳を保てる生産的な仕事のこと」であるということです。

 ジェンダー平等は横断的目標として、全ての戦略目標に関わっています。

目標8 「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセ ント・ワークを推進する」

 国際労働機関(ILO)によると、世界中の人々は、「ディーセント・ワークの欠如」、すなわち、「失業、不完全就業、質の低い非生産的な仕事、危険な仕事と不安定な所得、権利が認められていない仕事、男女不平等、移民労働者の搾取、発言権の欠如、病気・障害・高齢に対する不十分な保護など」に直面しています。

 ディーセント・ワークの機会が継続的に欠如した状態や不十分な投資、過 少消費は、すべての人々が前進を共有しなければならないという、民主主義的社会を下支えする基本的な社会契約の衰退をもたらします。

 「持続可能な経済成長を遂げるためには、経済を刺激し、かつ、環境に害を及ぼさない質の高い仕事に人々 が就ける条件を整備することが必要」(Goal_08.pdf (unic.or.jp))です。

 そこで、目標8を達成するためのターゲットが以下のように定められています。

8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
8.b 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

会社ができること

 この目標は、全ての会社がその達成に向けた努力をするべき事柄です。

 是非、私の過去のnoteを読んでいただき、自社の足りない点、伸ばしていけそうな点を洗い出してみてください。

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