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リハビリ勤務

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 まん防がようやくあけて、先週からピラティス教室が再開しました。
 かれこれ10年以上ダラダラと続けているピラティスも、年を取れば取るほどその必要性が身に染みるようになってきています。
 特に緊急事態宣言やまん防でレッスンが長期間お休みになると、どこかしら体に不調が表れてきますので、ピラティスの有り難みがよくわかります。

 そして、久し振りにピラティスをすると、体中からギシギシと音が聞こえてくるようで、まるでリハビリをしているかのようでした。
 他のメンバーからも悲鳴のようなうめき声が絶え間なく上がっていました。

 もともと健康体(老化や日常生活の疲れはあるものの)の私達でさえこんな状態ですから、病気やケガをして長期療養をした後に普通の体調を取り戻すことはかなり大変なことだろうと想像します。

復職時における会社の支援

 従業員が病気やケガで休職し、後遺症が遺ってしまった場合、会社はその従業員を休職期間満了により退職扱いとすることができるのでしょうか。

 業務を満足に行えなくなってしまった場合には、退職してもらうこともやむなしとも思えますが、会社は復職のための支援をしなくてもいいのでしょうか。

 最高裁判所の判例には、会社は、業務と関連のない病気に罹って、会社の求める業務を十分に行うことができない状態になったとしても、職務内容を限定した採用された労働者でない以上、他の業務に配置することが可能で、本人もその業務について労務を提供することを申し出ている時には、「債務の本旨に従った労務の提供」があるとして、会社はその配置可能な業務での労務の提供を認めなければならず、それをせずに自宅待機命令を出したまま欠勤扱いとすることは許されない、としたものがあります(最高裁判所平成10年4月9日第一小法廷判決「片山組事件」)。

 その後に出された大阪地方裁判所の判決では、配置可能な業務があるかどうかを検討するだけでなく、使用者に対し、合理的な復職支援をすることも求めました(大阪地方裁判所平成11年10月4日判決)。この判決では、従業員からの申出や、元の職務への復帰可能性も要求されませんでした。

 ただし、この判決ではかなり先進的な基準がとられたものと見られていますので、今後の裁判でこの判断がそのまま踏襲されるかどうかは不明です。

リハビリ勤務

 長期間休職していた従業員が復職するに当たり、いきなり元の業務に就かせることは難しいでしょう。

 その場合に、業務に復帰させるためのリハビリ期間を設けたり、そもそも、復職後にどのような業務に就けるかを判断するために試しに軽めの業務に就かせてみるというようなことがあります。

 このようなリハビリ勤務は、労使双方にとってメリットがありますし、傷病手当金の活用もできるので合法です。
 そして、そのリハビリ勤務期間中は無給とする合意があったとしても、リハビリ勤務が使用者の指揮命令下で行われ、使用者がその成果による恩恵を受けていると言える時には、最低賃金法による最低賃金の支払いは必要、とするのが判例です(名古屋高等裁判所平成30年6月26日判決)。

傷病の種類や原因によって変わりうる会社の支援内容

 病気やケガと言っても、それが業務によって生じたものか業務と関係なく生じたものか、身体的なものか精神的なものか、など、様々です。

 精神的なものであれば、どのような業務に就かせることが適切かを判断することは結構難しいでしょうし、また、業務による症状の悪化の兆候を見逃してしまいがちです。
 それが業務とは関係なく発症したものであればなおさら、会社が取りうる復職支援の幅は狭くなることはやむを得ないと判断される可能性があります。

 実際に目の前にいる従業員の状況に併せて適切な復職支援を取れるよう、医師等の専門家の判断を仰ぎつつ復職を進めていくようにしましょう。

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